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玄関の段差に使う福祉用具の考え方——手すり・スロープ・踏み台の組み合わせ

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

玄関の段差対策に使える福祉用具の考え方を解説。上がり框の高さ別の対応方法、手すり・スロープ・踏み台の組み合わせ方、靴の脱ぎ履きへの配慮、住宅改修との使い分けまで整理したガイドです。

01玄関は複数の動作が重なる、転倒リスクの高い場所

玄関は、靴の脱ぎ履き上がり框(あがりかまち)の昇降という、性質の異なる二つの動作が同時に発生する場所です。この二つが重なるため、家の中でも特に転倒のリスクが高い場所のひとつとされています。

上がり框の高さは住宅によって大きく異なり、数センチ程度のものから、20センチを超えるものまでさまざまです。高さによって、必要な対策も変わってきます。

この記事では、玄関の段差に使える主な福祉用具(手すり・スロープ・踏み台)の組み合わせ方の考え方を整理します。個別の用具の詳しい選び方については、関連記事の手すりを置く場所の考え方や、レンタルスロープの選び方のガイドもあわせてご覧ください。

玄関は来客時の動線にもなるため、家族だけでなく、来訪者にとっても分かりやすく安全な配置を意識することが大切です。この記事の内容は2026年7月時点の制度にもとづいています。最新情報は厚生労働省の公式情報でも確認してください。段差の高さ、体の状態、生活スタイルによって最適な組み合わせは変わるため、専門職への相談を前提に読み進めてください。

特に、退院直後や、体調を崩した直後など、身体状況が急に変化したタイミングでは、それまで問題なく使えていた玄関が急に危険な場所に感じられることがあります。そうした変化に気づいたら、我慢せずに早めにケアマネジャーへ相談することをおすすめします。玄関の安全対策は、生活全体の安心感にも大きく影響します。

一つずつ、着実に対策を進めていきましょう。

次の節から、具体的な対応方法を見ていきましょう。

02段差の高さ別・対応の考え方

玄関の段差の高さ別に、適した福祉用具の組み合わせを示す図。低い段差は手すりのみ、中程度の段差は手すり+スロープまたは踏み台、高い段差はスロープ+手すりの組み合わせが基本という考え方を整理

低い段差(目安:数センチ程度)

手すりだけで対応できることが多い段差です。上り下りの際に体を支える置き型手すりがあれば、多くの場合は安全性が高まります。

中程度の段差

手すりに加えて、スロープや踏み台を組み合わせることで、より安定した昇降ができます。車いすや歩行器を使う場合は、スロープが中心の対策になります。

高い段差(目安:20センチ前後以上)

一段のスロープでは勾配が急になりすぎるため、踏み台を組み合わせて段差を分割する、あるいは複数の対策を組み合わせることが必要になります。場合によっては、住宅改修による恒久的な工事が現実的な選択肢になることもあります。

いずれの場合も、自己判断で対応方法を決めず、福祉用具専門相談員に実際の段差を実測してもらい、身体状況に合った組み合わせを提案してもらうことが大切です。段差の高さは、メジャーで正確に測っておくと相談がスムーズです。

また、段差の高さだけでなく、上がり框の奥行きや、玄関の広さも、選べる対策の幅に影響します。狭い玄関では大きなスロープを置くスペースが確保できないこともあるため、実際の寸法を測ったうえで、現実的な選択肢を専門職と一緒に検討することが大切です。写真を撮っておくと、相談の際に状況を伝えやすくなります。

実際の生活動線に沿って、複数の視点から検討することが、失敗の少ない選び方につながります。

段差の実測結果は、後々の見直しの際にも役立つ記録になります。

丁寧な準備が、良い提案につながります。

03手すり・スロープ・踏み台の組み合わせ方

玄関の段差対策では、複数の用具を組み合わせて使うことが一般的です。

手すり+スロープ

車いすや歩行器を使う方に多い組み合わせです。スロープで段差を解消しつつ、手すりでバランスを支えます。勾配が急になりすぎないよう、スロープの長さを十分に確保することが重要です。

手すり+踏み台

杖や見守りだけで昇降できる方に多い組み合わせです。踏み台で段差を分割し、手すりで体を支えながら、一段ずつ昇降します。

組み合わせを選ぶ視点

  • 主に使う移動手段(歩行、杖、歩行器、車いすなど)
  • 玄関のスペースの広さ
  • 介助者の有無

福祉用具専門相談員は、こうした複数の要素を踏まえた提案をしてくれます。「なんとなく手すりが欲しい」という相談だけでなく、実際にどんな動作で困っているかを具体的に伝えることで、より的確な組み合わせを提案してもらえます。

また、家族の中に複数の身体状況の方がいる場合、それぞれに合った組み合わせが異なることもあります。全員が使いやすい配置になっているか、家族で話し合いながら決めていくことをおすすめします。一度決めた配置も、状態の変化に応じて見直すことができます。

迷ったときは、複数の候補を実際に試してみるのも一つの方法です。介護保険の貸与であれば、合わないと感じた場合に別の組み合わせへ変更することもできます。

福祉用具専門相談員への相談は、決して大げさなことではありません。ちょっとした困りごとでも、遠慮なく伝えてみましょう。

一緒に、最適な組み合わせを見つけていきましょう。

04靴の脱ぎ履きへの配慮

玄関の段差対策を考える際、見落とされがちなのが靴の脱ぎ履きの動作です。

座って脱ぎ履きする場合

上がり框に腰掛けて靴を脱ぎ履きする方には、座る動作を支える手すりの位置が重要になります。立ち座りの動線を確認しながら、手すりの高さと位置を検討しましょう。

立ったまま脱ぎ履きする場合

片足立ちになる時間が長くなるため、体を預けられる位置に手すりがあると安定感が大きく変わります。

靴べらや椅子の活用

福祉用具ではありませんが、長い靴べらや、玄関用の椅子を併用することで、動作の負担を減らせる場合もあります。

昇降の動作だけでなく、脱ぎ履きの動作も含めた「玄関での一連の動き」を、実際に動きながら確認することをおすすめします。福祉用具専門相談員に、普段の動作をそのまま見てもらうと、より具体的な提案を受けられます。

また、雨の日に濡れた靴のまま昇降する場面も想定し、滑りにくい足元の環境づくりも合わせて検討しておくと、より安心です。玄関マットの材質や配置も、意外と見落とされがちなポイントのひとつです。

荷物を持ちながらの脱ぎ履きも、意外とリスクが高い場面です。宅配便の受け取りや買い物帰りなど、両手がふさがった状態での動作についても、あらかじめ想定しておくと安心です。玄関先に荷物を一時的に置けるスペースを確保しておくのも、一つの工夫です。

季節による変化にも配慮しながら、無理のない生活動線を保つ工夫を続けていきましょう。

小さな工夫の積み重ねが、大きな安心につながります。

05介護保険の対象になるかの確認方法

玄関の段差対策に使う手すり・スロープは、介護保険の福祉用具貸与の対象品目です(スロープは2024年から選択制の対象にもなりました)。要支援1から利用できます。

確認の進め方

  1. ケアマネジャーに、玄関での困りごとを具体的に伝える
  2. 福祉用具専門相談員に自宅の玄関を実測してもらい、適した組み合わせを検討する
  3. ケアプランに位置づけたうえで、貸与または選択制での購入を進める

踏み台について

踏み台は、商品によって福祉用具貸与の対象になるかどうかが異なる場合があります。事業所に個別に確認しましょう。

費用の仕組み

貸与の場合は月々のレンタル料の1〜3割が自己負担です。具体的な金額は商品や地域によって異なるため、事業所の見積りで確認してください。

また、退院直後で急いで環境を整える必要がある場合でも、可能な限りアセスメントの手順を省略せず、実際の玄関の状況に合った組み合わせを選ぶことが、その後の安定した生活につながります。焦って選んだ結果、使いづらい配置になってしまうケースもあるため注意しましょう。

複数の対策を組み合わせる場合、それぞれの用具の費用も積み重なります。全体の予算感についても、ケアマネジャーに早めに相談しておくと、無理のない計画が立てやすくなります。見積りの内容に不明な点があれば、遠慮なく質問してください。

こうした確認を丁寧に行うことが、結果として安全な生活動線づくりにつながります。

見積りの内容は、遠慮なく確認してください。

不明な点があれば、いつでもお尋ねください。

06住宅改修との使い分け

玄関の段差が大きい場合や、恒久的な対応を希望する場合は、住宅改修費支給を使った工事も選択肢になります。

福祉用具(貸与・選択制購入)が向いている場面

  • 賃貸住宅で、原状回復の必要がある場合
  • まずは試してみて、効果を確認してから本格的な工事を検討したい場合

住宅改修が向いている場面

  • 持ち家で、長期間の恒久的な設置が可能な場合
  • 段差が大きく、より安定した構造が必要な場合

介護保険の住宅改修費支給を利用すれば、工事費用の一部の払い戻しを受けられますが、支給限度額があり、事前申請が必要です。工事を始めてから申請しても、原則として支給の対象にならないため、必ず着工前にケアマネジャーへ相談してください。

まずは福祉用具で試し、必要な対応が具体的に見えてから、住宅改修への切り替えを検討する段階的な進め方も、多くの方に選ばれています。

どちらが適しているかは、住環境や今後の見通しによって変わります。まずは福祉用具専門相談員とケアマネジャーの両方に相談し、それぞれの視点からの提案を受けることをおすすめします。費用面についても、貸与と住宅改修では仕組みが異なるため、事前に理解しておくと無理のない計画が立てやすくなります。

判断に迷う場合は、両方の専門職から意見を聞くことをおすすめします。生活全体を見渡した提案を受けられることがあります。

無理のない範囲で、着実に対策を進めていくことが大切です。お気軽にご相談ください。

07安全に使うための注意点

玄関の福祉用具を安全に使い続けるために、押さえておきたい注意点をまとめます。

設置面の安定性

置き型の手すりやスロープは、設置面が不安定だとぐらつきの原因になります。定期的にぐらつきがないか確認しましょう。

天候による滑りやすさ

雨の日は靴や傘で床が濡れやすく、普段より滑りのリスクが高まります。天候に応じて、より慎重な動作を心がけましょう。

夜間の視認性

夜間や薄暗い時間帯は、段差や用具の位置が分かりにくくなります。玄関の照明を十分に確保しておくことも大切です。

来客への配慮

用具の存在に慣れていない来訪者がつまずかないよう、目立つ色の表示を工夫しておくと安心です。

定期的な点検を習慣にし、少しでも異変を感じたら早めに事業所へ相談してください。

また、ペットを飼っている家庭では、用具の脚部にペットが引っかからないかも確認しておくとよいでしょう。生活環境全体を見渡した配置が、長く安心して使い続けるための鍵になります。小さな異変でも、放置せず早めに事業所へ相談する習慣をつけましょう。

特に高齢の家族が複数人いる家庭では、それぞれの体格や利き手に合わせた調整が必要になることもあります。家族全員が使いやすい配置になっているかも、あわせて確認しておくと安心です。

定期的な点検を習慣にすることが、長く安心して使い続けるための鍵になります。異変を感じたら、次のモニタリングを待たずに事業所へ連絡してください。

家族全員で情報を共有しておくことも、安全な暮らしにつながります。

以上です。

08まとめ——「動作」を軸に組み合わせを考える

玄関の段差対策を考えるときのポイントを整理します。

段差の高さ別の考え方

  • 低い段差:手すりのみ、中程度:手すり+スロープ/踏み台、高い段差:組み合わせや住宅改修も検討

組み合わせを選ぶ視点

  • 主に使う移動手段、玄関のスペース、介助者の有無

見落としがちなポイント

  • 昇降だけでなく、靴の脱ぎ履きの動作も含めて検討する

福祉用具と住宅改修の使い分け

  • まずは福祉用具で試し、必要な対応が見えてから住宅改修を検討する進め方も現実的

玄関は、毎日必ず通る場所だからこそ、丁寧な検討が日々の安心に直結します。まずはケアマネジャーや福祉用具専門相談員に、玄関での具体的な困りごとを伝えるところから始めてみてください。介護ようひんさーちでは、住所から営業エリアに対応した事業所を絞り込み、手すり・スロープの取扱いで比較できます。

焦らず、生活の中の小さな困りごとから一つずつ解消していく姿勢が、結果として大きな安心につながります。困ったときは一人で悩まず、身近な専門職に相談してみてください。

この記事が、玄関の安全対策を考えるきっかけになれば幸いです。

介護ようひんさーちでは、事業所ごとの取扱い品目や対応エリアを比較しながら、自宅に合った相談先を見つけることができます。

一つずつ、無理なく進めていきましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

段差の高さや、主に使う移動手段によって適した組み合わせが変わります。低い段差なら手すりのみ、中程度の段差なら手すりとスロープや踏み台の組み合わせ、高い段差ならさらに複数の対策や住宅改修も検討します。自己判断せず、福祉用具専門相談員に実際の段差を実測してもらい、身体状況に合った組み合わせを提案してもらうことをおすすめします。
踏み台は、商品によって福祉用具貸与の対象になるかどうかが異なる場合があります。手すりや固定用スロープと違い、対象の扱いが一律ではないため、事業所に個別に確認することをおすすめします。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すれば、対象になる商品や、対象外の場合の代替案についても提案してもらえるので、遠慮なく質問しましょう。
座って脱ぎ履きする場合は、立ち座りを支える位置に手すりを設置することが有効です。立ったまま脱ぎ履きする場合は、片足立ちの時間が長くなるため、体を預けられる位置に手すりがあると安定感が変わります。福祉用具ではありませんが、長い靴べらや玄関用の椅子の併用も、動作の負担を減らす方法として検討できるでしょう。
賃貸住宅で原状回復が必要な場合や、まずは効果を試したい場合は、福祉用具(貸与、スロープは選択制での購入も可)が向いています。持ち家で長期間の恒久的な設置が可能な場合や、段差が大きくより安定した構造が必要な場合は、住宅改修が向いています。まずは福祉用具で試し、必要な対応が見えてから住宅改修を検討する進め方もおすすめです。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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