浴槽をまたぐのが怖くなってきた、夜中のトイレが間に合わない——入浴と排泄の困りごとは、在宅介護でもっとも切実で、もっとも相談しにくいテーマかもしれません。この2つの場面を支えるのが、入浴補助用具と腰掛便座(ポータブルトイレなど)です。
最初に押さえたいのは、これらが特定福祉用具販売——つまり「買う」仕組みの対象だということです。車いすや介護ベッドのようなレンタル(貸与)ではなく、購入した費用の一部が介護保険から支給されます。直接肌に触れる用具のため、他の人が使ったものの再利用になじまない、というのが理由です。
購入の仕組みには、貸与と違う注意点が3つあります。
- 指定を受けた事業所から買うこと(一般の通販などは原則対象外)
- 償還払いが基本(いったん全額を支払い、申請後に給付分が戻る)
- 同一年度内の上限(購入費支給限度基準額)の範囲内で支給される
そしてもうひとつ。購入は貸与と違ってあとから交換ができないため、「買う前」の確認がすべてと言っていいほど重要です。この記事では、用具の種類と使いどころ、購入前の確認、寸法合わせと試用のコツ、他の制度との使い分けまでを順番に整理します。
なお、入浴や排泄の困りごとは、本人が言い出しにくく、家族も気づきにくいテーマです。「最近お風呂の回数が減った」「夜中に何度も起きている気配がある」——そんな間接的なサインも、相談のきっかけとして十分です。

