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介護ようひんさーち
品目別の選び方

入浴補助用具・腰掛便座を購入するときの確認ポイント【介護保険】

Published
作成日: 2026年6月28日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

介護保険で入浴補助用具や腰掛便座(ポータブルトイレ)を購入するときの確認ポイントを解説。種類と使いどころ、指定事業所・事前申請・年度上限の確認、寸法合わせと試用、貸与や住宅改修との使い分けまで整理しました。

01お風呂とトイレの用具は「購入」の仕組み——最初に知っておくこと

浴槽をまたぐのが怖くなってきた、夜中のトイレが間に合わない——入浴と排泄の困りごとは、在宅介護でもっとも切実で、もっとも相談しにくいテーマかもしれません。この2つの場面を支えるのが、入浴補助用具と腰掛便座(ポータブルトイレなど)です。

最初に押さえたいのは、これらが特定福祉用具販売——つまり「買う」仕組みの対象だということです。車いすや介護ベッドのようなレンタル(貸与)ではなく、購入した費用の一部が介護保険から支給されます。直接肌に触れる用具のため、他の人が使ったものの再利用になじまない、というのが理由です。

購入の仕組みには、貸与と違う注意点が3つあります。

  1. 指定を受けた事業所から買うこと(一般の通販などは原則対象外)
  2. 償還払いが基本(いったん全額を支払い、申請後に給付分が戻る)
  3. 同一年度内の上限(購入費支給限度基準額)の範囲内で支給される

そしてもうひとつ。購入は貸与と違ってあとから交換ができないため、「買う前」の確認がすべてと言っていいほど重要です。この記事では、用具の種類と使いどころ、購入前の確認、寸法合わせと試用のコツ、他の制度との使い分けまでを順番に整理します。

なお、入浴や排泄の困りごとは、本人が言い出しにくく、家族も気づきにくいテーマです。「最近お風呂の回数が減った」「夜中に何度も起きている気配がある」——そんな間接的なサインも、相談のきっかけとして十分です。

02入浴補助用具の種類と使いどころ

入浴補助用具は、「入浴に関する一連の動作」のどこに不安があるかで選ぶものが変わります。主な種類を、動作の順に見てみましょう。

入浴補助用具の種類を入浴の動作順に整理した図。洗い場での立ち座りには入浴用いす、浴槽への出入りには浴槽用手すりとバスボード、浴槽内での立ち座りには浴槽内いす、床の滑り対策には浴室内すのこ、介助には入浴用介助ベルトが対応する

  • 入浴用いす(シャワーチェア):洗い場での立ち座りと座位を安定させます。背もたれ・ひじ掛けの有無などのバリエーションがあります。
  • 浴槽用手すり:浴槽のふちに取り付けて、またぎ動作のつかまり先にします(工具不要で固定するタイプ)。
  • 入浴台(バスボード):浴槽の上に渡して腰かけ、座ったまま足を入れられるようにします。
  • 浴槽内いす:浴槽の中に置いて、湯船での立ち座りを楽にします。
  • 浴室内すのこ・浴槽内すのこ:洗い場や浴槽の底上げで、段差や深さを調整します。
  • 入浴用介助ベルト:介助者が体を支えやすくするためのベルトです。

「浴槽をまたぐのが不安」というひとつの困りごとでも、浴槽用手すりで解決する場合、バスボードが合う場合、両方組み合わせる場合があります。浴室の構造(浴槽の高さ・幅・洗い場の広さ)と体の状態の組み合わせで答えが変わるため、福祉用具専門相談員に浴室を実際に見てもらうことが、遠回りに見えて確実な近道です。

なお、入浴補助用具は機能や素材によって価格帯が幅広い品目です。「必要十分」を見きわめるためにも、複数の候補を提示してもらい、違いの説明を受けたうえで選びましょう。

03腰掛便座の種類と使いどころ

腰掛便座は、排泄まわりの動作を支える購入品目で、大きく3つのタイプがあります。

  • ポータブルトイレ:寝室などに置いて使う移動式のトイレ。夜間にトイレまでの移動が間に合わない・危ない、という場面の代表的な解決策です。木製の家具調タイプ、樹脂製の標準タイプ、高さ調整やひじ掛けの機能など、バリエーションが豊富です。
  • 補高便座:洋式便器の上に載せて座面を高くし、立ち座りを楽にします。膝や股関節の負担を減らしたい方に使われます。
  • 据置式便座(和式→洋式変換):和式便器の上に置いて、洋式のように腰かけて使えるようにします。

ポータブルトイレを選ぶときの視点をいくつか紹介します。

  • 高さと安定性:立ち座りしやすい座面の高さか。ひじ掛けはつかまりやすいか。
  • 置き場所:ベッドからの動線に無理なく置けるか。夜間に見つけやすいか。
  • 処理のしやすさ:バケツの取り外しやすさ、消臭の工夫など、介助・処理する家族の負担も重要な選定軸です。
  • 本人の気持ち:寝室にトイレを置くことへの抵抗感は自然なものです。家具調タイプなど、受け入れやすいデザインの選択肢も含めて相談しましょう。

なお、温水洗浄や暖房などの機能が付いた商品もあり、機能によって価格帯は幅広くなります。「どこまでの機能が必要か」を、使う場面から逆算して選ぶのがおすすめです。

迷ったら、「誰の負担を減らしたいのか」(本人の動作か、家族の介助・処理か)を言葉にすると、優先すべき機能が見えてきます。

04購入前の3つの確認——指定・事前申請・年度上限

入浴補助用具と腰掛便座で失敗しないために、支払いの前に次の3つを必ず確認してください。

(1)指定事業所からの購入か:保険給付の対象になるのは、特定福祉用具販売の指定を受けた事業所から購入した場合が原則です。ホームセンターや一般の通販で似た商品が売られていますが、指定のない購入先では原則給付を受けられません。「この事業所は特定福祉用具販売の指定を受けていますか」の一言から始めましょう。

(2)市区町村の手続き(事前申請の要否):購入前の事前申請を求める自治体と、購入後の申請でよい自治体があります。順番を間違えると支給されないことがあるため、「私の市では購入前に必要な手続きはありますか」を事業所か市区町村の介護保険窓口に確認します。申請には領収書などの書類が必要になるので、書類はすべて保管を。

(3)年度内の上限との関係:支給は同一年度内の購入費支給限度基準額の範囲内です。同じ年度に複数の品目(たとえば入浴用いすとポータブルトイレ)を購入する予定があるなら、上限との関係をケアマネジャーか市区町村に確認しておきましょう。この枠は貸与の区分支給限度額とは別枠です。

あわせて、支払い方法も確認ポイントです。基本は償還払い(全額支払い→給付分の払い戻し)ですが、自治体によっては最初から自己負担分だけを支払う受領委任払いが使える場合があります。まとまった立て替えが難しい場合は、「受領委任払いは使えますか」と聞いてみてください。

05寸法と試用——「買い直せない」からこそ慎重に

購入品目の最大の注意点は、体に合わなくても交換できないことです。買い直しを防ぐための実践的なコツを紹介します。

寸法を測ってから相談する

  • 入浴補助用具なら:浴槽の高さ(外側・内側)、浴槽のふちの幅、洗い場の広さ、蛇口やドアとの位置関係
  • ポータブルトイレなら:置きたい場所の幅・奥行き、ベッドからの距離

メジャーで測った数字とスマホの写真があるだけで、相談の精度は大きく変わります。もちろん、専門相談員の自宅訪問で測ってもらうのが最も確実です。

可能な限り試してから買う

  • 実物を確認できる事業所やショールームがあるか聞いてみる
  • 座ってみる、またいでみる、立ち上がってみる——実際の動作で確認する
  • 介助する家族も一緒に確認する(処理や介助のしやすさ)

「いまの状態」だけでなく「少し先」も考える

購入品は長く使うものなので、状態の見通しも選定材料になります。ただし、先回りしすぎて大げさな用具を選ぶと使いにくいこともあるため、このバランスこそ専門相談員とケアマネジャーに相談する価値があります。

なお、皮膚に直接触れる用具なので、材質やお手入れのしやすさも確認しておきましょう。カビや汚れが残りにくい構造かどうかは、長く清潔に使うための実用的なポイントです。

また、同居していない家族が贈り物として買ってあげたいケースもありますが、良かれと思った「サプライズ購入」は寸法違い・給付対象外の二重の失敗になりがちです。必ず本人・ケアマネジャーを交えた相談を挟んでください。

06貸与・住宅改修との使い分け——「買う」以外の選択肢も知る

入浴・トイレまわりの困りごとは、購入品目だけで解決するとは限りません。「買う」以外の選択肢も知ったうえで選ぶと、納得度が変わります。

貸与(レンタル)で対応できるもの

  • 置き型手すり:脱衣所やトイレの立ち座りを支える工事不要の手すりは、貸与の対象です。トイレでの立ち座りの不安が「便座の高さ」ではなく「つかまる場所がない」ことにあるなら、貸与の手すりが合う場合があります。
  • トイレまでの動線の支え:夜間のトイレ移動の不安には、廊下の手すりや歩行器(いずれも貸与)で「トイレまで行ける」を支える方向もあります。

住宅改修(工事)で対応できるもの

  • 浴室・トイレへの手すりの取り付け(工事あり)
  • 段差の解消、引き戸への扉の取り替え、滑りにくい床材への変更など

住宅改修は貸与とも購入とも別枠の上限で管理され、工事前の事前申請が必要です。

組み合わせの例:「浴槽まわりは入浴用いすとバスボード(購入)、脱衣所は置き型手すり(貸与)、浴室の壁には工事の手すり(住宅改修)」というように、3つの制度を組み合わせる設計はよくあります。

どの組み合わせが合うかは、浴室・トイレの構造と体の状態次第です。「購入ありき」で進めず、ケアマネジャーと専門相談員に入浴・排泄の一連の動作全体を見てもらい、最適な組み合わせを設計してもらいましょう。

なお、2022年から購入品目に加わった排泄予測支援機器(排尿のタイミングを知らせる機器)のように、排泄まわりの選択肢は少しずつ広がっています。「こんな道具はないか」という素朴な質問も、専門相談員にぶつけてみる価値があります。

07衛生とお手入れ・安全上の注意

入浴・排泄の用具は、清潔と安全の両方に気を配りたい品目です。長く安心して使うためのポイントをまとめます。

衛生・お手入れ

  • 使用後の水気を拭き取る、定期的に洗うなど、日常のお手入れ方法を納品時に確認する
  • ポータブルトイレは、処理の手順と頻度、消臭の工夫(処理袋や消臭剤の活用など)を確認する
  • 部品(パッキン、バケツなど)の交換部品が入手できるかも聞いておくと、長く使えます

安全上の注意

  • 浴室は「濡れて滑る」場所:用具を置いても、床や用具自体が濡れて滑ることがあります。滑り止めの状態を定期的に確認し、劣化していたら使用を続けずに事業所へ相談を。
  • 体重のかけ方:浴槽用手すりやバスボードには、取り付け位置や体重のかけ方の注意点があります。「してはいけない使い方」を納品時に必ず確認してください。
  • ぐらつき・ゆるみのチェック:浴槽用手すりの固定のゆるみ、いすの脚のがたつきは、事故の前兆です。気づいたら使用を中止して確認を。

購入品には貸与のような定期モニタリングの仕組みはありませんが、購入した事業所に使い方や不具合を相談することはできます。購入時に「困ったときはどこに連絡すればよいですか」と問い合わせ先を確認し、連絡先を残しておきましょう。

なお、用具はあくまで動作を支える道具であり、体調や皮膚の状態に関わる心配ごとは、主治医や看護職への相談が優先です。

お手入れの手順は、納品時に家族もメモを取りながら聞いておくと、日々の負担がぐっと軽くなります。

08相談・事業所探しの進め方——聞き方の例つき

最後に、入浴補助用具・腰掛便座の購入を進めるときの実践リストです。

進め方の順番

  1. ケアマネジャーに困りごとを伝える(未認定なら地域包括支援センターへ)
  2. 特定福祉用具販売の指定がある事業所を探す
  3. 専門相談員に浴室・トイレを見てもらい、商品を選定してもらう
  4. 市区町村の手続き(事前申請の要否)を確認する
  5. 購入・支払い(領収書の保管)→ 支給申請

聞き方の例

  • 「母が浴槽をまたぐときにふらつきます。浴室を見てもらって、合う用具を提案してもらえますか」
  • 「この商品は特定福祉用具販売の対象ですか。私の市では事前申請が必要ですか」
  • 「実物を試せる場所はありますか。介助する家族も一緒に確認したいです」
  • 「年度内にポータブルトイレも買う予定です。上限との関係を教えてください」
  • 「購入後の不具合や部品交換は、どこに相談すればいいですか」

事業所選びの視点

  • 特定福祉用具販売の指定があるか(貸与も検討するなら両方の指定)
  • 自宅が営業エリア(配送・訪問の範囲)に入っているか
  • 入浴・排泄用具の提案経験と、試用・実物確認への対応

介護ようひんさーちでは、住所から営業エリアに対応した事業所を絞り込み、販売の指定の有無と取扱い品目で比較できます。入浴と排泄の困りごとは、我慢の時間が長くなりがちなテーマです。相談さえ始めれば、解決の選択肢は思っているより多くあります。今日、最初の一歩を踏み出してみてください。

FAQ

このガイドのよくある質問

できません。入浴用いす(シャワーチェア)などの入浴補助用具と、ポータブルトイレなどの腰掛便座は、直接肌に触れる品目のため貸与(レンタル)ではなく、特定福祉用具販売——購入の対象です。指定を受けた事業所から購入した場合に、同一年度内の上限の範囲で保険給付を受けられます。購入前に実物を確認できる事業所もあるので、試してから選ぶのがおすすめです。
原則使えません。保険給付の対象になるのは、特定福祉用具販売の指定を受けた事業所から購入した場合です。また、指定事業所でも商品によって保険対象外のものがあるため、「この商品は保険給付の対象ですか」と購入前に商品単位で確認してください。給付分を考慮すると、指定事業所からの購入のほうが結果的に負担が小さくなることが多くあります。
買えます。ただし、保険給付は同一年度内の購入費支給限度基準額という上限の範囲内なので、複数の品目を購入する場合は上限との関係を事前に確認しましょう。上限を超えた分は全額自己負担になります。現在の枠の残りや購入の優先順位、買う順番の工夫は、ケアマネジャーか市区町村の介護保険窓口に相談すると整理してもらえます。
自治体によります。購入前の事前申請を求める市区町村と、購入後の申請でよい市区町村があります。順番を間違えると支給されないことがあるため、支払いの前に「私の市では購入前に必要な手続きはありますか」を事業所か市区町村の窓口で必ず確認してください。申請には領収書などの書類が必要になるので、購入時の書類はすべて保管しておきましょう。
困りごとの原因によって答えが変わります。便座が低くて立ち座りがつらいなら補高便座(購入)、つかまる場所がないことが問題なら置き型手すり(貸与)やトイレ用の囲み型手すりが合う場合があります。夜間の移動が問題ならポータブルトイレという選択肢もあります。自己判断で買う前に、福祉用具専門相談員にトイレまわりの動作を見てもらい、購入・貸与・住宅改修を含めた最適な組み合わせを提案してもらうのが確実です。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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