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特定福祉用具販売とは?購入対象品目・償還払い・上限の考え方

Published
作成日: 2026年6月28日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

特定福祉用具販売(介護保険での購入)の仕組みを解説。対象品目、償還払いと年度内上限の考え方、購入前に必要な確認、2024年からの選択制との関係、事業所選びのポイントまで整理したガイドです。

01特定福祉用具販売とは——介護保険で「買って使う」仕組み

特定福祉用具販売とは、介護保険を使って福祉用具を購入し、費用の一部が保険から支給される仕組みです。介護保険の福祉用具は「借りて使う」貸与が基本ですが、直接肌に触れるものなど、他の人が使ったものの再利用になじまない品目に限って、購入が保険給付の対象とされています。

対象となるのは、腰掛便座や入浴補助用具といった、トイレ・お風呂まわりの用具が中心です。「ポータブルトイレが必要になった」「浴槽をまたぐのが怖くなってきた」という場面で検討されることが多い仕組みです。

貸与と大きく違うのは、お金の流れです。貸与が月々の支払いなのに対し、販売は購入時にいったん全額を支払い、あとから保険給付分が払い戻される償還払いが基本です。また、支給には同一年度内の上限(購入費支給限度基準額)が定められています。

そしてもうひとつ、必ず知っておきたい前提があります。どこで買ってもよいわけではないということです。保険給付の対象になるのは、都道府県等から特定福祉用具販売の指定を受けた事業所から購入した場合に限られます。一般の通販やホームセンターで同じような商品を買っても、原則として保険の対象にはなりません。この記事では、対象品目、費用の仕組み、購入までの流れ、注意点の順に整理していきます。

なお、車いすや介護ベッド、手すりなどは貸与(レンタル)の対象品目なので、この仕組みでは購入できません。「借りるもの」と「買うもの」の全体像から確認したい方は、まず貸与と販売の違いを整理してから読み進めると理解しやすくなります。

02対象となる品目——販売の6種目と選択制品目

特定福祉用具販売の対象は、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分の6種目です。

特定福祉用具販売の対象品目を、排泄を支える用具・入浴を支える用具・移乗を支える用具に整理し、2024年4月からの選択制品目を並記した区分図

役割で整理すると、排泄を支えるもの(腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器)、入浴を支えるもの(入浴補助用具、簡易浴槽)、移乗を支えるもの(移動用リフトのつり具の部分)に分けられます。入浴補助用具には、入浴用いす(シャワーチェア)、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台(バスボード)、すのこ類、入浴用介助ベルトなどが含まれます。

さらに2024年(令和6年)4月からは、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖が貸与と販売の選択制の対象になり、これらは購入という形でも保険給付を受けられるようになりました。

注意したいのは、同じ種目名でも、個々の商品が対象になるかどうかは商品ごとに決まっている点です。「この商品は特定福祉用具販売の対象ですか」と、購入前に事業所へ商品単位で確認することが確実です。種目の詳細は厚生労働省の告示で定められており、制度改定で見直されることがあります。

また、「入浴補助用具」とひと口に言っても、その中身は入浴用いすから介助ベルトまで幅広く、体の状態によって合うものが変わります。品目名で決め打ちせず、「浴槽に入るときの、またぐ動作が不安」というように困っている動作を伝えると、専門相談員が適切な用具の種類から一緒に考えてくれます。

03なぜこれらの品目は「購入」なのか

「車いすは借りるのに、なぜポータブルトイレは買うの?」という疑問は、制度の考え方を知ると整理できます。

介護保険の福祉用具が貸与を基本としているのは、状態の変化に合わせて用具を交換しやすくするためです。しかし、貸与は「返却されたものを次の利用者が使う」ことを前提にした仕組みでもあります。腰掛便座や入浴補助用具のように排泄や入浴で直接肌に触れる品目は、衛生面からこの再利用になじみません。そこで、こうした品目は例外的に購入が保険給付の対象とされています。

この背景を知っておくと、実際の場面でも判断がしやすくなります。たとえば「シャワーチェアをレンタルで試したい」と思っても、入浴補助用具は販売の対象なので、介護保険でのレンタルはできません。その代わり、購入前に実物を確認したり、展示品で試したりできる事業所もあります。「購入前に試すことはできますか」と聞いてみる価値は十分あります。

また、購入した用具は自分のものになるため、貸与のような返却・交換の仕組みはありません。体の状態が変わって合わなくなっても、原則として買い替えになります(同一品目の再購入が保険給付の対象になるかは条件があるため、市区町村への確認が必要です)。だからこそ、購入時点で「いまの状態に合うか」だけでなく「しばらく使い続けられそうか」まで、福祉用具専門相談員と一緒に見立てることが大切です。

04費用の仕組み——償還払いと年度内の上限

特定福祉用具販売の費用は、次の2つの仕組みで成り立っています。

(1)償還払いが基本:購入時にいったん全額を支払い、市区町村に申請すると、所得に応じた自己負担分(1〜3割)を除いた保険給付分が払い戻されます。つまり、一時的にまとまった支払いが発生します。自治体によっては、最初から自己負担分だけを支払えばよい受領委任払いの仕組みを設けている場合があります。使えるかどうかは市区町村や事業所によって異なるため、「受領委任払いは使えますか」と購入前に確認しましょう。

(2)同一年度内の上限がある:支給の対象になるのは、同一年度内の購入費支給限度基準額の範囲内です。この上限は、貸与で使われる区分支給限度額とは別枠で管理されます。年度内に複数の品目を購入する予定がある場合は、上限との関係をケアマネジャーや市区町村に確認しておくと安心です。

具体的な商品の価格は、商品・事業所によって異なります。購入前には見積もりを受け取り、商品名・型式、本体価格、配送や設置にかかる費用の有無を確認しましょう。また、同じ種目でも機能によって価格帯はさまざまです。「機能がシンプルなものと充実したもので、どんな違いがありますか」と聞くと、必要十分な選択がしやすくなります。最新の負担割合や手続きは、お住まいの市区町村の公式情報での確認が必要です。

なお、支給申請の期限にも注意が必要です。購入からあまりに時間が経つと申請できなくなる場合があるため、購入したら早めに申請まで済ませることをおすすめします。期限の扱いは市区町村によって異なります。

05購入までの流れ——「買う前」の確認がいちばん大事

特定福祉用具販売でつまずく方の多くは、「先に買ってしまった」ことが原因です。保険給付を確実に受けるために、次の順番で進めましょう。

  1. ケアマネジャーに相談する:困りごとと「購入を考えている」ことを伝えます。要支援の方や、まだケアマネジャーがいない方は地域包括支援センターが窓口です。
  2. 指定事業所を選ぶ:特定福祉用具販売の指定を受けた事業所を選びます。指定の有無は事業所に直接確認できるほか、公的な介護サービス情報公表システムでも調べられます。
  3. 福祉用具専門相談員に品目・商品を選定してもらう:心身の状況や住環境をふまえて、合う商品を提案してもらいます。
  4. 市区町村の手続きを確認する:購入前の事前申請が必要か、申請にどんな書類(申請書・見積書・カタログの写し・領収書など)が必要かは、市区町村によって異なります。
  5. 購入・支払い:領収書は申請に必要になるため、必ず保管します。
  6. 市区町村へ支給申請:申請後、保険給付分が払い戻されます(受領委任払いの場合は流れが異なります)。

ポイントは、手順4を飛ばさないことです。事業所が手続きに慣れていることが多いので、「私の市の場合、購入前に必要な手続きはありますか」と事業所に聞いてしまうのが早道です。不安な場合は、市区町村の介護保険担当窓口に直接確認すれば確実です。

退院にあわせて用具をそろえたい場合は、入院中から病院の相談員(ソーシャルワーカー)やケアマネジャーに伝えておくと、退院前に選定や手続きの準備を進められます。退院日が決まってから慌てないよう、早めの相談がおすすめです。

062024年からの選択制と販売の関係

2024年(令和6年)4月から、それまで貸与のみだった一部の品目——固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖——について、貸与と販売のどちらを利用するかを選べる選択制が導入されました。つまり、特定福祉用具販売の「買える品目」が実質的に広がった形です。

選択制の品目で購入を選ぶ場合も、通常の販売と同じく償還払い・年度内上限の仕組みが適用されます。そして、選ぶ前には福祉用具専門相談員やケアマネジャーから、貸与・販売それぞれのメリットとデメリットの説明を受けることになっています。

購入を選ぶ判断材料としては、状態が安定していて長く使い続ける見込みが強いか、が中心になります。逆に、状態の変化で交換の可能性があるなら、貸与のほうが柔軟です。また、購入すると事業所による定期的なモニタリングや交換の仕組みは基本的になくなるため、「購入後の修理や調整はどこまで対応してもらえますか」を選ぶ前に確認しておきましょう。

名称の紛らわしさにも注意が必要です。車輪付きの「歩行車」は選択制の対象外(貸与のみ)で、「松葉づえ」も単点杖の選択制対象から除かれています。商品名やカタログの表記だけでは判別しにくいため、「この商品は選択制で購入できますか」と商品単位で確認するのが確実です。制度の内容は今後の改定で変わる可能性があるため、最新情報の確認も忘れずに。

07見落としやすい注意点

特定福祉用具販売で後悔しないために、つまずきやすいポイントをまとめます。

(1)指定のない店・通販で買うと保険対象外:もっとも多い失敗です。同じ商品でも、特定福祉用具販売の指定を受けた事業所からの購入でなければ、原則として保険給付の対象になりません。ネット通販で安く見えても、給付分を考えると指定事業所のほうが負担が小さいことがあります。

(2)事前申請が必要な自治体がある:購入後に申請すればよい自治体と、購入前の申請を求める自治体があります。順番を間違えると支給されないことがあるため、必ず購入前に確認しましょう。

(3)領収書・書類の保管:支給申請には領収書などの書類が必要です。品目名が記載された領収書をもらい、申請まで保管してください。

(4)年度内の上限を超えた分は全額自己負担:複数の品目をまとめて買う場合は、上限との関係を事前に確認しましょう。

(5)購入後の返品・交換は原則難しい:体に合わなかった場合でも、貸与のような交換の仕組みはありません。購入前の試用や、専門相談員による選定を省略しないことが最大の防御策です。

いずれも「購入前のひと言確認」で防げます。急いで買いたい事情があるときほど、指定・手続き・上限の3点だけは確認してから支払いに進みましょう。

また、家族が代わりに購入手続きを進める場合は、申請者が誰になるのか(本人名義の書類が必要か)も市区町村に確認しておくと、書類の出し直しを防げます。

08事業所探し・相談で確認すること・聞き方の例

最後に、購入の相談先を探すときの確認リストです。

事業所探しの段階で確認すること

  • 特定福祉用具販売の指定を受けているか
  • 自宅の住所が営業エリア(配送・設置の対応範囲)に入っているか
  • 検討している品目を取り扱っているか
  • 購入前の試用や実物確認ができるか

相談の場で聞くこと

  • 「浴槽をまたぐのが不安です。入浴補助用具ではどんな選択肢がありますか」
  • 「この商品は特定福祉用具販売の対象ですか。私の市で事前申請は必要ですか」
  • 「受領委任払いは使えますか。使えない場合、支払いから払い戻しまでの流れを教えてください」
  • 「購入後、サイズ調整や修理はどこまで対応してもらえますか」

困りごとから伝えると、専門相談員は品目だけでなく「本当に購入が最適か」まで含めて提案しやすくなります。場合によっては、購入よりも貸与対象の品目(浴室用の手すりなど)や住宅改修のほうが合っていることもあるため、選択肢を広めに聞いてみるのがおすすめです。

事業所の指定状況は介護サービス情報公表システムでも確認できます。介護ようひんさーちでは、住所・取扱い品目・販売指定の有無から事業所を検索できるので、購入の相談先探しにご活用ください。気になる事業所が見つかったら、ケアマネジャーにも共有して一緒に進めましょう。

なお、購入は貸与と違って「契約して終わり」になりやすい取引です。だからこそ、購入後の問い合わせ先(不具合・部品交換・使い方の質問)を最初に確認しておくことが、長く安心して使うためのポイントになります。納品時には、使い方の説明を家族も一緒に聞いておくと、日々の介助にも活かせます。

FAQ

このガイドのよくある質問

腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具(入浴用いす・浴槽用手すりなど)、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分の6種目が対象です。2024年4月からは、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖も選択制の対象として購入できるようになりました。個々の商品が対象かどうかは、購入前に事業所へ確認してください。
同一年度内の購入費支給限度基準額という上限の範囲内で、所得に応じた自己負担分(1〜3割)を除いた金額が支給されます。この上限は貸与の区分支給限度額とは別枠で管理されます。具体的な上限額や現在の残り枠、申請の手続きは、お住まいの市区町村やケアマネジャーに確認してください。上限を超えた分は全額自己負担になります。
原則として使えません。保険給付の対象になるのは、都道府県等から特定福祉用具販売の指定を受けた事業所から購入した場合に限られます。同じ商品が通販で安く売られていても、給付分を考慮すると指定事業所からの購入のほうが自己負担が小さくなることがあります。購入前に、その事業所が指定を受けているかを必ず確認しましょう。
基本は償還払いで、購入時に全額を支払い、市区町村に領収書などを添えて申請すると、保険給付分が後日払い戻されます。自治体によっては、最初から自己負担分のみを支払う受領委任払いを使える場合があります。申請の書類や購入前の事前申請の要否は市区町村ごとに異なるため、購入前に事業所か市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
購入した用具は自分のものになるため、貸与のような交換・返却の仕組みは原則ありません。同一品目の再購入が保険給付の対象になるかどうかには条件があり、市区町村の判断が関わります。だからこそ購入前に、福祉用具専門相談員に体の状態や住環境を見てもらい、可能なら試用したうえで選ぶことが大切です。修理や調整の対応範囲も購入前に確認しておきましょう。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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