福祉用具選びには、カタログやスペック表だけではどうしてもわからないことがあります。座ったときのお尻の感覚、ハンドルの握りやすさ、廊下の曲がり角での取り回し——体で確かめるしかない情報が、使い勝手の大部分を占めるからです。
だからこそ、選定の仕上げとして試用(デモ)の価値は絶大です。試用とは、契約や購入を決める前に、実際の商品を使って確かめること。事業所によって、自宅に商品を持ってきてその場で試す、一定期間試しに使ってみる、店舗やショールームで実物を確認する、といった形があります。
試用が特に重要になるのは、次のような場面です。
- 購入品目を検討しているとき:入浴補助用具や腰掛便座などの購入品は、あとから交換できません。「試してから買う」が唯一の保険です。
- 初めてその品目を使うとき:歩行器や車いすが初めての方は、「そもそも使いこなせるか」から確かめる必要があります。
- 選択制で購入を選ぼうとしているとき:2024年から購入も選べるようになった品目(固定用スロープ・歩行器・杖)は、購入前の試用で「本当に長く使えそうか」を見きわめられます。
ただし、試用は「なんとなく使ってみる」だけでは半分しか価値を発揮しません。何を確かめるかを決めて臨むことで、試用は選定の精度を大きく上げる道具になります。この記事では、その確認ポイントを3つの視点に整理して解説します。
「試すなんて申し訳ない」と感じる方もいますが、合わない用具を使い続けるほうが、本人にも事業所にも大きな損失です。試用は双方のための仕組みだと考えてください。

