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特定福祉用具購入の償還払いの流れ——申請から払い戻しまでの手順と注意点

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

介護保険で福祉用具を購入したときの償還払いの流れを解説。購入前の確認、市区町村への申請に必要な書類、払い戻しまでの手順、受領委任払いとの違い、年度内上限との関係、よくあるつまずきまで整理したガイドです。

01償還払いとは——「いったん全額、あとから払い戻し」

ポータブルトイレや入浴用いすなど、特定福祉用具販売の対象品目を介護保険で購入するとき、費用の支払いは償還払いという方式が基本になります。

償還払いの仕組みは、一言でいえば「いったん全額を支払い、あとから保険給付分の払い戻しを受ける」というものです。購入時にはまず商品代金の全額を事業所に支払います。その後、市区町村に支給申請をすると、所得に応じた自己負担分(1〜3割)を除いた金額——つまり7〜9割が、後日払い戻されます。

レンタル(貸与)が最初から1〜3割の負担で済むのと違い、購入では一時的にまとまったお金が手元から出ていくこと、そして申請しないと払い戻されないこと。この2点が、償還払いを理解するうえでの出発点です。

「申請すれば戻る」と聞くと簡単そうですが、実際には、購入前の確認を飛ばしたために給付が受けられなかった、書類を失くして手続きが滞った、といったつまずきが起こりがちです。手続きの詳細(必要書類、事前申請の要否、申請の期限など)は市区町村によって異なるため、「全国共通の正解」を覚えるのではなく、「どの段階で・何を・どこに確認するか」を押さえることが大切です。

この記事では、償還払いの全体の流れを6つのステップに分けて、つまずきやすいポイントとともに解説します。

なお、対象品目や制度の全体像(何が買えるのか、貸与との違い)は別のガイドで詳しく説明しています。この記事は「お金と手続きの流れ」に絞って進めます。

02全体の流れ——6つのステップ

まず全体像です。特定福祉用具の購入から払い戻しまでは、おおまかに次の6ステップで進みます。

特定福祉用具購入の償還払いの6ステップの流れ図。ケアマネジャーへの相談、指定事業所での商品選定、市区町村の手続き確認、購入と全額支払い、市区町村への支給申請、保険給付分の払い戻しの順に進む

  1. 相談:ケアマネジャーに困りごとと購入の意向を伝える(要支援の方や担当がいない方は地域包括支援センターへ)。
  2. 選定:特定福祉用具販売の指定を受けた事業所で、福祉用具専門相談員と商品を選ぶ。
  3. 手続き確認:購入前の事前申請が必要か、必要書類は何かを、市区町村(または事業所経由)で確認する。
  4. 購入・支払い:商品代金の全額を支払い、領収書を必ず受け取って保管する。
  5. 支給申請:市区町村の窓口に、申請書と必要書類を提出する。
  6. 払い戻し:審査を経て、保険給付分(7〜9割)が指定の口座に振り込まれる。

この流れで最も大事なのは、ステップ3が「購入の前」にあることです。自治体によっては購入前の申請や書類が必要で、順番を間違えると支給されないことがあります。「買ってから考える」ではなく「確認してから買う」——この一点を守るだけで、償還払いの失敗の大半は防げます。

次の節から、各ステップの中身とつまずきポイントを順に見ていきます。

なお、選択制の品目(固定用スロープ・歩行器・単点杖・多点杖)で「販売」を選んだ場合も、この償還払いの流れは同じです。

退院に合わせて急ぐ場合は、その旨を最初に伝えれば、確認と手続きを並行して進める調整をしてもらえます。

03購入前の確認——指定・対象商品・事前申請の3点セット

ステップ1〜3、つまり「買う前」に確認すべきことは3点セットで覚えてください。

(1)指定事業所からの購入か

保険給付の対象になるのは、特定福祉用具販売の指定を受けた事業所から購入した場合が原則です。ホームセンターや一般の通販で似た商品を買っても、給付は受けられません。「この事業所は特定福祉用具販売の指定を受けていますか」の確認が最初の関門です。

(2)その商品が保険給付の対象か

指定事業所で扱う商品でも、すべてが給付対象とは限りません。「この商品は、介護保険を使って購入できますか」と商品単位で確認しましょう。品目としての対象(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、排泄予測支援機器など)と、個々の商品の対象可否は別の話です。

(3)市区町村の手続き(事前申請の要否)

ここが自治体差の大きいポイントです。購入後の申請でよい市区町村と、購入前の事前申請を求める市区町村があります。事前申請が必要な自治体で先に買ってしまうと、支給されないおそれがあります。

確認の仕方は2通りです。手っ取り早いのは、事業所に聞くこと——地域の手続きに慣れているため、「この市では事前申請が必要ですか」に即答してくれることが多いです。確実なのは、市区町村の介護保険窓口に直接聞くこと。「特定福祉用具購入費の支給を受けたい。購入前に必要な手続きと書類を教えてください」と伝えれば、一式を案内してもらえます。

04購入と支払い——領収書がすべての鍵

購入前の確認が済んだら、ステップ4、購入と支払いです。ここでの主役は、ずばり書類です。

必ず受け取って保管するもの

  • 領収書:支給申請の必須書類です。宛名(原則として被保険者本人の氏名)、購入日、金額、購入した商品名が記載されたものを受け取ってください。レシートで足りるか、正式な領収書が必要かは自治体によるため、事前確認の際に聞いておくと確実です。
  • 商品のわかる書類:カタログの写しやパンフレットなど、購入した商品の概要がわかる資料の提出を求める自治体が多くあります。
  • 契約書・重要事項説明書:トラブル時の確認のためにも保管を。

支払いの注意点

  • 支払いは全額です。あとから7〜9割戻るとはいえ、一時的な出費としては大きいので、家計のタイミングも考えて購入日を決めましょう。まとまった立て替えが難しい場合は、次の節で説明する受領委任払いが使えないか、先に確認を。
  • 誰が支払うかも意識しておきましょう。申請者(被保険者本人)と支払者・領収書の宛名の関係で書類の整合が問われる場合があるため、家族が立て替える場合は「宛名はどうすればよいか」を事業所や市区町村に確認しておくとスムーズです。

書類は、クリアファイルなどに「福祉用具購入セット」としてまとめておくのがおすすめです。申請までの間に紛失すると、再発行の手間で手続きが滞ってしまいます。

購入日と申請予定日をカレンダーに書いておくと、申請忘れの防止になります。

05支給申請と払い戻し——どこに出して、いつ戻るか

ステップ5〜6、申請と払い戻しです。

申請先と申請者

申請先は、お住まいの市区町村の介護保険窓口です。申請者は被保険者本人が原則ですが、家族が代理で手続きできる場合がほとんどです(委任状の要否は自治体によります)。事業所やケアマネジャーが申請を支援してくれることも多いので、「申請の手伝いはしてもらえますか」と聞いてみましょう。

主な必要書類(自治体により異なります)

  • 支給申請書(窓口やウェブサイトで入手)
  • 領収書
  • 購入した商品がわかる資料(カタログの写しなど)
  • 振込先口座のわかるもの
  • そのほか、理由書や医師の意見書等を求められる場合があります

申請の期限

見落としがちですが、支給申請には期限があります。購入から時間が経ちすぎると申請できなくなる場合があるため、購入したら早めに申請まで済ませてください。期限の扱いは自治体に確認を。

払い戻しまでの期間

申請後、市区町村の審査を経て、保険給付分が指定口座に振り込まれます。かかる期間は自治体や時期によって異なるため、「だいたいいつ頃振り込まれますか」と申請時に聞いておくと、家計の見通しが立てやすくなります。

申請が受理されたら、控えを保管しておきましょう。問い合わせの際に、申請日と受付番号がわかるとやり取りがスムーズです。

なお、申請書の書き方がわからない場合は、窓口で記入例を見せてもらえます。無理にひとりで完成させようとせず、窓口・事業所・ケアマネジャーの支援を組み合わせて進めましょう。

06受領委任払い——全額立て替えが難しいときの選択肢

「7〜9割戻るといっても、一度に全額を支払うのは厳しい」——そんなときに確認したいのが、受領委任払いという方式です。

受領委任払いでは、利用者は購入時に自己負担分(1〜3割)だけを支払い、残りの保険給付分は市区町村から事業所へ直接支払われます。つまり、立て替えが発生しません。

ただし、この方式には条件があります。

  • 自治体が制度として用意しているか:受領委任払いを設けていない市区町村もあります。
  • 事業所が対応しているか:自治体に制度があっても、事業所側がその方式に対応(登録)している必要がある場合があります。
  • 事前の手続きが必要な場合が多い:受領委任払いは、購入前の申請・承認を前提とする運用が一般的です。

確認の聞き方はシンプルです。購入を検討し始めた段階で、事業所と市区町村に「受領委任払いは使えますか」と聞くだけ。使えるなら、その手続きの流れ(事前申請の書類など)を案内してもらえます。

どちらの方式でも、最終的な自己負担額は変わりません。違いは「お金の流れ」だけです。年金生活で一時的な出費を抑えたい方、複数の品目をまとめて購入する方は、受領委任払いの可否を先に確認することで、購入のタイミングを柔軟に組めるようになります。

なお、受領委任払いを使った場合も、支給の条件(指定事業所・対象商品・年度内上限)は償還払いと同じです。方式の違いで給付額が変わることはありません。

07年度内の上限と、複数購入の計画

償還払いの金額に関わる大事な枠が、同一年度内の購入費支給限度基準額です。

特定福祉用具購入費の支給は、同一年度(4月から翌年3月)の購入額のうち、この上限の範囲内が対象です。上限を超えた分は全額自己負担になります。なお、この枠は貸与の区分支給限度額とは別枠なので、「レンタルをたくさん使っているから購入枠がない」ということはありません。

複数購入を考えている場合の計画のポイント

  • 上限との関係を先に確認:入浴用いすとポータブルトイレなど、複数の品目を検討している場合は、合計額と上限の関係をケアマネジャーか市区町村に確認しましょう。
  • 優先順位をつける:上限に収まらない場合、リスクの高い場面(転倒しやすい入浴まわりなど)に関わるものから順に購入する、年度をまたいで計画する、といった調整が考えられます。
  • 買い替えの扱い:同じ品目をもう一度購入する場合(破損した、体に合わなくなったなど)は、支給の対象になるかどうかに条件があり、市区町村の判断が関わります。自己判断で買い替える前に、必ず相談してください。

年度の切り替わり(4月)で枠はリセットされますが、「枠が復活するから」と必要な用具の購入を先延ばしにするのは本末転倒です。安全に関わる用具は、必要になったときが買いどき。枠の計画は、あくまで複数購入の順番を考える材料として使ってください。

なお、家族が異なる品目を別々の事業所で購入する場合も、支給の枠は被保険者本人単位で合算されます。購入の予定は家族間でも共有しておくと、上限超えを防げます。

08よくあるつまずきと、チェックリスト

最後に、償還払いでよくあるつまずきを、防ぎ方とセットでまとめます。

(1)先に買ってしまった:最多の失敗です。指定外の店・通販で購入した、事前申請が必要な自治体で先に購入した——いずれも給付を受けられないおそれがあります。防ぎ方:「確認してから買う」の順番を死守

(2)領収書がない・不備がある:レシートを捨ててしまった、宛名が違う。防ぎ方:購入時に「介護保険の申請に使う」と伝えて、適切な領収書を発行してもらい、書類一式をまとめて保管。

(3)申請を忘れていた:買って満足してしまい、申請期限を過ぎてしまう。防ぎ方:購入したらその週のうちに申請を目標にする。事業所やケアマネジャーの申請支援も活用。

(4)上限を確認せず複数購入:年度内の上限を超えた分が全額自己負担に。防ぎ方:複数購入の前に枠の確認。

購入前チェックリスト

  • [ ] 事業所は特定福祉用具販売の指定を受けているか
  • [ ] この商品は保険給付の対象か(商品単位で確認)
  • [ ] 私の市区町村では事前申請が必要か
  • [ ] 受領委任払いは使えるか(立て替えを避けたい場合)
  • [ ] 年度内の上限との関係は問題ないか

この5つに答えられれば、償還払いで失敗することはまずありません。確認の相談に丁寧に付き合ってくれるかどうかは、事業所選びの良い判断材料でもあります。介護ようひんさーちでは、住所から営業エリアに対応した、販売指定のある事業所を検索できます。購入の相談先探しにご活用ください。

FAQ

このガイドのよくある質問

購入費のうち、所得に応じた自己負担分(1〜3割)を除いた7〜9割が、市区町村への支給申請後に払い戻されます。ただし、支給対象は同一年度内の購入費支給限度基準額の範囲内で、指定事業所から購入した保険対象商品であることが条件です。自分の負担割合は介護保険負担割合証で、上限の残りは市区町村やケアマネジャーに確認できます。
一般的には、支給申請書、領収書、購入した商品がわかる資料(カタログの写しなど)、振込先口座のわかるものが基本セットです。自治体によっては理由書などの追加書類や、購入前の事前申請を求める場合があります。必要書類は市区町村によって異なるため、購入前に介護保険窓口か事業所に「必要な書類一式」を確認しておくのが確実です。
市区町村での審査を経て振り込まれるため、かかる期間は自治体や時期によって異なります。申請時に「いつ頃になりますか」と窓口で確認しておくと、家計の見通しが立てやすくなります。なお、支給申請には期限があり、購入から時間が経ちすぎると申請できなくなる場合があるため、購入したら早めに——できればその週のうちに申請まで済ませることをおすすめします。
受領委任払いが使えないか確認してみてください。この方式では、購入時に自己負担分(1〜3割)だけを支払い、保険給付分は市区町村から事業所へ直接支払われるため、立て替えが不要になります。ただし、自治体が制度を設けているか、事業所が対応しているかによって使えるかが決まり、購入前の手続きが必要な場合が多いため、検討の早い段階で「受領委任払いは使えますか」と事業所と市区町村に確認しましょう。
家族による手続きの代行は多くの場合可能ですが、申請者は被保険者本人が原則のため、領収書の宛名や委任状の要否など、書類の整え方に注意が必要です。「家族が立て替えて購入する場合、宛名や書類はどうすればよいか」を、購入前に事業所か市区町村に確認しておくと、書類の出し直しを防げます。ケアマネジャーや事業所が申請を支援してくれることも多いので、遠慮なく頼ってください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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