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福祉用具の点検・メンテナンスの確認ポイント——契約前の質問から日常チェックまで

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

福祉用具の点検・メンテナンス体制の確認方法を解説。貸与に含まれるフォローの範囲、契約前に事業所へ聞くこと、月1回のセルフチェック習慣、品目別の点検ポイント、購入品との違いまで整理したガイドです。

01点検・メンテナンスは「貸与に含まれるサービス」

福祉用具のレンタル(貸与)を考えるとき、多くの方は「どの商品を選ぶか」に意識が向かいます。しかし、長く安心して使えるかどうかを左右するのは、実は借りたあとの点検・メンテナンス体制です。

まず押さえたい前提があります。貸与では、借りたあとのフォローが制度に組み込まれているということです。指定を受けた事業所の福祉用具専門相談員は、納品時の調整と使い方の説明だけでなく、利用開始後のモニタリング(使用状況の確認)を行うことになっており、その実施時期は福祉用具サービス計画に記載されます。用具の不具合への対応や、通常使用の範囲での点検・修理・交換も、貸与サービスの一部として提供されるのが一般的です。

つまり、「壊れたらどうしよう」「手入れを自分で全部やるのは不安」という心配に対しては、事業所が主役、利用者は日常の見守り役という分担が基本の答えになります。

ただし、体制の手厚さは事業所によって差があり、対応の範囲は契約内容によって決まります。だからこそ、(1)契約前に体制を確認する、(2)納品時にメンテの基本を聞く、(3)日常のセルフチェックを習慣にする、(4)異変があればすぐ連絡する——この4つを押さえておくことが大切です。この記事では、それぞれを具体的に解説します。

なお、福祉用具の重大な事故やヒヤリハットの情報は行政からも公表されており、その多くは「劣化の見逃し」や「誤った使い方」が関わっています。点検とメンテナンスは、快適さのためだけでなく、事故を防ぐための取り組みでもあります。

02契約前に確認すること——事業所の点検体制を見きわめる

点検・メンテナンス体制は、契約前の質問でかなり見きわめられます。事業所選びや見積もりの場で、次の点を確認しましょう。

定期的なフォローについて

  • 「モニタリング(使用状況の確認)は、いつ・どのように行われますか」
  • 「点検はどんな内容を、どのくらいの頻度で見てもらえますか」

不具合・故障時の対応について

  • 「故障や不具合のとき、どこに連絡して、どのくらいで対応してもらえますか」
  • 「夜間や休日の緊急連絡先はありますか」
  • 「修理の間、代替品は用意してもらえますか」

費用の範囲について

  • 「通常の使用による劣化や故障の修理は、レンタル料に含まれますか」
  • 「利用者の過失で壊した場合の扱いはどうなりますか」

これらの質問に具体的に答えられる事業所は、体制が整っていると考えられます。「大丈夫です、ちゃんとやりますよ」といった抽象的な答えしか返ってこない場合は、他の事業所とも比較する価値があります。

とくに、特殊寝台や移動用リフトのように生活を大きく支える用具ほど、「止まったときに何時間で来てもらえるか」が重要です。契約書や重要事項説明書にも、修理・交換の費用負担や連絡先が記載されているので、契約時に該当箇所を確認し、書類は保管しておきましょう。

なお、これらの質問への答えは、重要事項説明書にも記載されていることが多いです。口頭の説明と書面の内容が一致しているかを見ることも、事業所の信頼性の確認になります。

03納品時に聞いておく——お手入れと「してはいけないこと」

契約が決まったら、次の関門は納品日です。この日は用具の受け取り日であると同時に、メンテナンスの基本を教わる最大のチャンスです。専門相談員に、次のことを聞いておきましょう。

日常のお手入れ方法

  • 拭き掃除の仕方(使ってよい洗剤、水気の扱い)
  • 定期的に洗うべき部品(カバー類など)と洗い方
  • 保管場所の注意(直射日光、湿気、屋外保管の可否)

注油・調整など「自分でやってよいこと」の範囲

  • 空気入れ(車いすのタイヤなど)は自分でやってよいか
  • ネジのゆるみに気づいたら締めてよいか、連絡すべきか

「してはいけないこと」

  • 分解・改造・部品の付け替えの禁止
  • 屋外用と屋内用の使い分け
  • 耐荷重を超える使い方、想定外の用途(踏み台代わりなど)

ここで大事な原則をひとつ。自己流の修理・改造は絶対にしないことです。ぐらつく手すりに自分で板をかませる、ブレーキの効きを自分で調整する——善意の工夫が、かえって事故のもとになります。「自分でやってよいこと」と「事業所に任せること」の線引きを、納品時にはっきりさせておくのが、この日いちばんの収穫になります。

説明は口頭で流れてしまいがちなので、家族もメモを取りながら聞き、取扱説明書と一緒に保管しておきましょう。

説明を受けそびれた・忘れてしまった場合も、あとから「お手入れの仕方をもう一度教えてください」と連絡してかまいません。モニタリングの訪問時にまとめて再確認するのも良い方法です。

04日常のセルフチェック——月1回、5分の習慣

事業所の点検とモニタリングがあるとはいえ、毎日その用具に触れているのは利用者と家族です。異変に最初に気づけるのは、あなたです。そこでおすすめしたいのが、月1回・5分のセルフチェック習慣です。

福祉用具の日常セルフチェックの整理図。ゆるみとがたつき、ゴムやタイヤの状態、動きと音、汚れとサビの4つの視点で月に一度確認し、異変があれば使用をやめて事業所へ連絡する

チェックの視点は、品目を問わず共通で4つです。

(1)ゆるみ・がたつき:ネジ、ジョイント、固定部分。手で軽く揺らして、ぐらつきがないか。

(2)ゴム・タイヤの状態:杖先ゴムのすり減り、タイヤの空気圧とすり減り、滑り止めの劣化。ゴム類は消耗品の代表です。

(3)動き・音:可動部分がスムーズに動くか。動作時の異音、引っかかり、以前との違い。

(4)汚れ・サビ・破れ:フレームのサビ、カバーの破れ、クッションのへたり。

コツは、「毎月1日」など日を決めてしまうことです。カレンダーやスマホのリマインダーに「用具チェック」と入れておけば、忘れません。チェックといっても、目で見て、手で触って、動かしてみるだけ。5分あれば終わります。

このセルフチェックは「自分で直すため」ではなく、「早く気づいて、早く連絡するため」のものです。見つけた異変への対処は、次の節のとおり事業所に任せましょう。

本人が自分でチェックするのが難しい場合は、家族の訪問日や、訪問サービスが入る日に合わせるなど、生活のリズムに組み込む工夫をしてみてください。

チェックで「問題なし」だった月も、その記録は無駄になりません。「いつから変わったか」を伝えられることが、点検の質を上げるからです。

05品目別・見るべきポイントの例

セルフチェックの4視点を、主な品目に当てはめた例です。お使いの用具の欄だけ、覚えておいてください。

車いす

  • ブレーキの効き(左右差がないか)
  • タイヤの空気圧・すり減り
  • ハンドリム・フットサポートのぐらつき
  • 折りたたみ部分の動き

特殊寝台(介護ベッド)

  • 背上げ・高さ調整の動きと音
  • サイドレールの取り付けのゆるみ
  • リモコンの反応
  • キャスターのロック

手すり(置き型・突っ張り型)

  • 本体のぐらつき(体重をかける前に手で確認)
  • 設置位置のずれ
  • 突っ張り型は突っ張りのゆるみ

歩行器・杖

  • 先端ゴムのすり減り(斜めに減っていないか)
  • 高さ調整部のゆるみ
  • フレームの曲がり・がたつき

スロープ

  • 設置のずれ、端の浮き
  • 表面の滑り止めの状態

マットレス・クッション

  • へたり、部分的なへこみ
  • カバーの破れ・汚れ

どの品目にも共通するのは、「命や転倒に直結する部分」から見ることです。車いすならブレーキ、手すりなら固定、ベッドならサイドレール。ここに不安があれば、その用具は「点検待ち」であって「まだ使える」ではありません。

なお、ここに挙げていない品目(体位変換器、徘徊感知機器など)も、考え方は同じです。「固定・消耗部品・動き・外観」の4視点で、気になる点を事業所に伝えてください。

迷ったら「全部まとめて次の点検で見てください」でも構いません。

06異変に気づいたら——直さない・粘らない・すぐ連絡

セルフチェックや日々の使用で異変に気づいたときの行動原則は、3つだけです。

(1)自分で直さない:応急処置のつもりの自己修理が、安全性を損なうことがあります。部品の交換や調整は事業所の仕事です。

(2)「まだ使える」で粘らない:ブレーキが片方だけ効きにくい、手すりが少しぐらつく——この段階は「事故の一歩手前」です。壊れきってから連絡するのではなく、予兆の段階で連絡するのが正解です。

(3)すぐ事業所へ連絡する:定期のモニタリングを待つ必要はありません。電話一本で点検に来てもらえます。

連絡のときは、次の3点を伝えるとスムーズです。

  • 何が:品目と、わかれば商品名
  • どうなった:いつから、どんな症状か(「先週から、右のブレーキをかけるとき音がする」)
  • いまの使用状況:使うのをやめているか、使わざるを得ない状況か

特に「使わざるを得ない」場合(ベッドや車いすなど生活必需の用具)は、その旨を伝えれば対応の優先度を上げてもらえたり、代替品の相談ができたりします。

なお、転倒や挟み込みなどヒヤリとした出来事があった場合は、けががなくても事業所とケアマネジャーに共有してください。用具の問題か、使い方の問題か、体の変化かを専門職が切り分けることで、本当の事故を防げます。

連絡先は、電話の近くや冷蔵庫など、家族の誰でも見える場所に貼っておきましょう。いざというとき「どこに電話するんだっけ」で止まらないための、小さくて効く備えです。

07購入した用具のメンテナンス——貸与との違い

ここまでは主に貸与(レンタル)の話でしたが、購入した用具(入浴補助用具、腰掛便座、選択制で購入した歩行器や杖など)のメンテナンスは事情が異なります。

貸与との違い

  • 定期的なモニタリング・点検の仕組みは、基本的にありません。
  • 故障・劣化したときの修理や部品交換は、自分で動く必要があります。

購入品を長く安全に使うために

  • 購入時に確認しておく:「修理や部品交換はどこに頼めますか」「消耗品(パッキン、ゴムなど)は購入できますか」「保証はありますか」。この確認が、購入後の安心を大きく左右します。
  • 購入した事業所を「かかりつけ」にする:購入品でも、使い方の質問や不具合の相談は購入した事業所にできることが多いです。連絡先を保管しておきましょう。
  • セルフチェックはより重要に:定期点検がない分、月1回のセルフチェック習慣の価値が上がります。特に浴室で使う用具は、滑り止めの劣化と吸盤・固定部のゆるみを重点的に。
  • 買い替えのサインを知る:ぐらつきが直らない、樹脂部分のひび、滑り止めの摩耗——安全に関わる劣化が出たら、修理か買い替えを事業所に相談してください。同一品目の再購入が保険給付の対象になるかは条件があるため、市区町村への確認も忘れずに。

「買ったら終わり」ではなく「買ったら自分が管理人」。この意識の切り替えが、購入品と付き合ううえでのポイントです。

購入時の保証書や説明書は、領収書とあわせて1つのファイルにまとめておくと、修理相談のときに迷いません。

08まとめ——メンテ体制は事業所選びの隠れた本丸

点検・メンテナンスの確認ポイントを整理します。

役割分担の基本

  • 事業所:モニタリング、点検、修理・交換、使い方の再指導
  • 利用者・家族:日常のお手入れ、月1回のセルフチェック、異変の早期連絡

時系列のチェックリスト

  • [ ] 契約前:モニタリングの進め方、緊急対応、修理費用の範囲を質問
  • [ ] 納品時:お手入れ方法と「してはいけないこと」を家族もメモ
  • [ ] 日常:月1回・5分のセルフチェック(ゆるみ・ゴム・動き・汚れ)
  • [ ] 異変時:直さない・粘らない・すぐ連絡
  • [ ] 購入品:修理と消耗品の入手先を購入時に確認

そして最後に、この記事のいちばん実用的な結論を。メンテナンス体制は、事業所選びの「隠れた本丸」です。商品はどの事業所で借りても大きくは変わりませんが、借りたあとの点検・駆けつけ・交換の質は、事業所によってはっきり差が出ます。福祉用具との付き合いは何年にもわたるからこそ、契約前のメンテ質問を面倒がらずに行い、具体的に答えてくれる事業所を選んでください。

介護ようひんさーちでは、住所・品目・指定の有無から地域の事業所を検索できます。候補が見つかったら、この記事の質問リストを持って問い合わせを。その受け答えが、長く頼れるパートナーかどうかを教えてくれます。

道具の手入れは、暮らしの手入れでもあります。月に5分の習慣が、この先の何年もの安心を支えてくれます。

FAQ

このガイドのよくある質問

貸与(レンタル)では、事業所の福祉用具専門相談員による定期的なモニタリング(使用状況の確認)が仕組みに組み込まれており、実施時期は福祉用具サービス計画に記載されます。通常使用の範囲での点検・修理・交換も貸与サービスの一部として提供されるのが一般的です。ただし対応範囲は契約によるため、契約前に「点検の頻度」「故障時の対応」「修理費用の範囲」を確認しておきましょう。
通常の使用による劣化や故障への対応(点検・修理・同等品への交換)は、レンタル料に含まれることが一般的です。ただし、利用者の過失による破損の扱いなどは契約内容によって異なるため、契約書や重要事項説明書の該当箇所を確認し、不明な点は契約前に事業所へ質問してください。購入した用具の修理は別で、購入時に修理や部品交換の依頼先を確認しておくことが大切です。
日常の拭き掃除やカバー類の洗濯など、基本のお手入れ方法は納品時に専門相談員から説明を受けられます。あわせておすすめなのが、月1回・5分のセルフチェックです。ゆるみ・がたつき、ゴムやタイヤのすり減り、動きと音の変化、汚れやサビの4点を見るだけで、異変の早期発見につながります。ただし分解・改造・自己流の修理は事故のもとになるため、直すのは事業所に任せてください。
すぐに連絡してください。「まだ使える」と感じる段階は、事故の一歩手前であることが多いのです。ブレーキ、手すりの固定、サイドレールなど、転倒や挟み込みに直結する部分の異変は、予兆の段階で事業所に点検してもらうのが正解です。定期モニタリングを待つ必要はなく、電話一本で対応してもらえます。生活に欠かせない用具の場合は、その旨を伝えれば代替品の相談もできます。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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