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福祉用具貸与とは?レンタル対象の13種目と利用の仕組み

Published
作成日: 2026年6月28日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

福祉用具貸与(レンタル)の仕組みを基礎から解説。対象13種目の全体像、要介護度による制限、借りるまでの流れ、費用の考え方、事業所探しで確認したいポイントまで、はじめての方向けに整理しました。

01福祉用具貸与とは——介護保険で「借りて使う」仕組み

福祉用具貸与とは、介護保険を使って、車いすや介護ベッド(特殊寝台)、手すりなどの福祉用具を借りて使う仕組みです。都道府県等の指定を受けた事業所からレンタルし、所得に応じて費用の1〜3割を自己負担します。

「買ったほうが早いのでは」と思われるかもしれませんが、介護保険の福祉用具は貸与が基本とされています。その理由は、要介護の状態が時間とともに変化していくものだからです。歩行の状態が変われば合う歩行器も変わり、体格や姿勢が変われば車いすの調整も必要になります。借りる仕組みであれば、そのときどきの状態に合わせて用具を交換・調整しながら使い続けられます。

もうひとつの特徴は、借りて終わりではないことです。貸与では、事業所に所属する福祉用具専門相談員が、品目や機種の選定を手伝い、納品時に体や住環境に合わせた調整を行い、利用開始後も定期的に使用状況を確認(モニタリング)します。用具そのものだけでなく、「合った用具を、合った状態で使い続けるためのフォロー」まで含めた仕組みだと考えると、貸与の価値がわかりやすくなります。

利用するには、要介護・要支援の認定を受けていること、そしてケアプラン(介護予防ケアプラン)に福祉用具貸与が位置づけられていることが前提になります。思い立ったらまず、ケアマネジャーに相談するところから始まります。

なお、腰掛便座や入浴補助用具のように直接肌に触れる品目は、貸与ではなく「特定福祉用具販売(購入)」という別の仕組みの対象です。借りるのか買うのかで手続きも費用の流れも変わるため、この記事では「借りて使う」仕組みに絞って、対象品目・費用・利用の流れ・事業所探しのポイントを順に解説していきます。

02対象となる13種目の全体像

福祉用具貸与の対象は、制度上13種目に整理されています。具体的には、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置です。

福祉用具貸与の13種目を、移動を支える用具・寝る環境を整える用具・住まいの安全・見守りと排泄を支える用具の4グループに整理した区分図

名前だけではイメージしにくい品目もあるので、役割で捉えると整理しやすくなります。移動を支えるもの(車いす・歩行器・歩行補助つえ・スロープ・移動用リフト)、寝る環境を整えるもの(特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器)、住まいの安全を支えるもの(手すり)、見守りや排泄を支えるもの(認知症老人徘徊感知機器・自動排泄処理装置)という具合です。

注意したいのは、「付属品」も独立した種目になっている点です。たとえば車いすのクッションやブレーキ、特殊寝台のサイドレールやマットレスなどは、本体とは別に借りられる場合があります。また、移動用リフトの「つり具の部分」は肌に触れるため貸与ではなく販売の対象です。細かい線引きは商品ごとに異なるため、「この商品は借りられますか」と事業所に確認するのが確実です。なお、種目の一覧は厚生労働省の告示で定められており、制度改定で見直されることがあります。

また、2024年(令和6年)4月からは、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖について、貸与と販売のどちらを使うかを利用者が選べる選択制が導入されました。これらの品目を検討している場合は、借りる前提で話を進めるのではなく、購入という選択肢も含めて専門相談員から説明を受けられます。

03要介護度によって、原則借りられない品目がある

13種目のすべてが、誰でも借りられるわけではありません。要支援1・2および要介護1の方(いわゆる軽度者)は、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトについて、原則として保険給付の対象外とされています。また、自動排泄処理装置(尿のみを吸引するものを除く)は、要介護3以下の方は原則対象外です。

これは「軽度の方には必要性が低い品目」という制度上の整理によるものですが、大切なのは例外の仕組みがあることです。たとえば病状によって状態が変動しやすい場合や、医師の意見をふまえて必要性が認められる場合には、軽度者でも例外的に給付が認められることがあります。例外給付の判断には医師の意見や市区町村の確認などが関わり、手続きの詳細は市区町村によって異なります。

ですから、「要介護1だから介護ベッドは無理」と自己判断であきらめる必要はありません。まずケアマネジャーに「私の状態で例外給付の可能性はありますか」と相談してみてください。仮に保険給付の対象にならない場合でも、全額自己負担でのレンタルや、介護保険外のサービスを扱う事業所もあります。選択肢を並べたうえで、費用と必要性のバランスを一緒に考えてもらいましょう。

なお、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえは、軽度の方でも借りられる品目です。転倒予防の観点から早めに導入を検討する価値があります。

04借りるまでの流れ——誰に相談してどう進むか

福祉用具貸与を使い始めるまでの流れは、おおまかに次のようになります。

  1. ケアマネジャーに相談する:困っていること(立ち上がりがつらい、夜間のトイレが不安など)を伝えます。まだケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターが窓口です。
  2. ケアプランに位置づける:福祉用具貸与が必要と判断されると、ケアプランに位置づけられます。
  3. 事業所を選ぶ:貸与の指定を受けた事業所の中から、営業エリアや取扱い品目をふまえて選びます。
  4. 福祉用具専門相談員が品目・機種を選定する:心身の状況や住環境をふまえて、福祉用具サービス計画が作られます。機能や価格帯の異なる複数の商品の提示を受けられます。
  5. 納品・調整・契約:自宅で実際に設置し、体に合わせて調整したうえで利用を開始します。
  6. 定期的なモニタリング:利用開始後も、専門相談員が使用状況を確認し、必要に応じて調整や交換を提案します。

ポイントは、用具選びを自分だけで完結させないことです。カタログで気になる商品があっても、実際に体や住環境に合うかは別問題です。「この商品が気になっているが、私に合いそうか」という聞き方をすると、専門相談員の知見を引き出しやすくなります。退院にあわせて使い始めたい場合は、入院中から病院の相談員(ソーシャルワーカー)経由で調整が始められることもあるため、早めに相談しましょう。

05福祉用具専門相談員とモニタリング——借りたあとのフォロー

貸与の仕組みを支えているのが、福祉用具専門相談員です。指定を受けた事業所には2名以上の配置が義務づけられており、品目・機種の選定援助、納品時の調整、使い方の説明、利用開始後のモニタリングまでを担います。

モニタリングとは、借りている用具が今の状態に合っているかを定期的に確認することです。実施時期は、利用者ごとに作成される福祉用具サービス計画に記載されます。「借りたときはちょうどよかったが、最近ブレーキが重く感じる」「ベッドの高さが合わなくなってきた」といった変化は、モニタリングを待たずに、気づいた時点で事業所に連絡して構いません。調整や機種変更の相談は、貸与という仕組みに最初から含まれているサービスです。

見落としやすいのは、遠慮してしまって不調を伝えないケースです。用具が合わない状態で使い続けると、転倒や姿勢の崩れなど、かえって体への負担につながることがあります。「せっかく選んでもらったのに申し訳ない」と感じる必要はありません。状態の変化に合わせて交換しやすいことが貸与の最大の利点なので、その利点を積極的に使いましょう。

連絡のきっかけとしては、(1)体の状態が変わったとき、(2)用具の不具合・異音・がたつきに気づいたとき、(3)住環境が変わったとき(引っ越し・模様替え・同居家族の構成の変化)が目安になります。どこに連絡すればよいか迷ったら、担当のケアマネジャーに伝えれば事業所につないでもらえます。

06費用の仕組み——1〜3割負担と区分支給限度額

貸与の費用は、月ごとのレンタル料に対して、所得に応じた1〜3割の自己負担で利用します。レンタル料そのものは品目・商品・事業所によって異なるため、このガイドでは具体的な金額ではなく、確認すべき仕組みを整理します。

まず、貸与費は他の介護サービス(訪問介護やデイサービスなど)と合算して、区分支給限度額という月ごとの枠の中で管理されます。すでにサービスを多く使っている場合、枠の残りによっては自己負担が変わることがあるため、「今の限度額の残りはどのくらいですか」とケアマネジャーに確認しておくと安心です。

次に、貸与価格について知っておきたい制度があります。2018年(平成30年)10月から、商品ごとの全国平均貸与価格の公表貸与価格の上限設定が行われています。事業所は、貸与しようとする商品について、全国平均貸与価格と自事業所の価格をあわせて説明し、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示することになっています。つまり、「この商品の平均的な価格はどのくらいですか」「他の選択肢も見せてください」という質問は、制度上想定されている正当な確認です。

見積もりを受け取ったら、商品名・型式、月額、搬入や設置にかかる費用の有無、そして全国平均貸与価格との差を確認しましょう。金額の妥当性を自分で判断しにくいときは、ケアマネジャーに見積もりを見てもらうのもよい方法です。

なお、貸与は月々の支払いが続く仕組みなので、長期間の利用では支払いの総額が積み上がっていきます。選択制の対象品目を長く使う見込みが強い場合は、購入した場合との違いも含めて専門相談員に相談すると、納得感のある選び方につながります。

07見落としやすい注意点

福祉用具貸与を使ううえで、つまずきやすいポイントをまとめます。

(1)指定のない事業所からは保険で借りられない:介護保険の対象になるのは、福祉用具貸与の指定を受けた事業所からの貸与に限られます。事業所探しの最初に、指定の有無を確認しましょう。

(2)貸与品は新品とは限らない:返却された用具を消毒・点検したうえで提供する場合があります。衛生管理の方法は事業所ごとに異なるため、気になる方は「消毒・点検はどのように行っていますか」と確認して構いません。

(3)同じ品目名でも保険対象外の商品がある:たとえば一般の通販で「歩行器」として売られている商品が、制度上の貸与対象に該当するとは限りません。商品単位で対象かどうかを事業所に確認しましょう。

(4)ケアプランに位置づけずに借りると保険が使えない:先に自分で契約してしまうと、給付の対象にならないことがあります。順番はかならず「ケアマネジャーへの相談」からです。

(5)入院・入所中の扱い:介護保険の福祉用具貸与は在宅での利用が前提のため、入院中や施設入所中は利用できない場合があります。退院・退所のタイミングにあわせた調整は、ケアマネジャーと事業所に早めに伝えておくとスムーズです。

いずれも、「事前にひと言確認する」ことで防げるものばかりです。不明点を残したまま契約に進まないことが、いちばんの予防策になります。

08事業所探しで確認すること・聞き方の例

最後に、貸与の事業所を探し、最初に問い合わせるときの確認リストです。

事業所探しの段階で確認すること

  • 福祉用具貸与の指定を受けているか
  • 自宅の住所が営業エリアに入っているか
  • 使いたい品目を取り扱っているか
  • 緊急時(故障・不具合)の対応体制

問い合わせ・相談の場で聞くこと

  • 「要介護◯で、△△に困っています。どんな品目が考えられますか」
  • 「複数の商品を比べたいので、機能や価格帯の違う候補を見せてもらえますか」
  • 「納品までどのくらいかかりますか。試用(デモ)はできますか」
  • 「モニタリングはどのように行われますか。不具合のときはどこに連絡しますか」

聞き方のコツは、商品名から入るのではなく、困りごとから伝えることです。「ベッドから起き上がるのに時間がかかる」「玄関の段差で転びそうになった」という情報のほうが、専門相談員は適切な品目を提案しやすくなります。

事業所の指定状況や提供内容は、公的な介護サービス情報公表システムでも確認できます。介護ようひんさーちでは、住所・取扱い品目・貸与/販売の指定の有無から事業所を検索できるので、候補探しにご活用ください。よさそうな事業所が見つかったら、ケアマネジャーに「この事業所に相談したい」と伝えれば、そこから調整が始まります。

問い合わせの際は、(1)要介護度、(2)使いたい品目または困りごと、(3)住所(営業エリアの確認用)の3点をあらかじめメモしておくと、やり取りが一度で済みやすくなります。複数の事業所で迷ったときは、説明のわかりやすさ、試用への対応、連絡の速さといった「対応の質」を比較の軸にすると選びやすくなります。

FAQ

このガイドのよくある質問

制度上は13種目が対象で、車いす(付属品含む)、特殊寝台(付属品含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置が含まれます。ただし要介護度によって原則対象外となる品目があるほか、個々の商品が対象かどうかは事業所への確認が必要です。
特殊寝台は、要支援1・2および要介護1の方は原則として保険給付の対象外です。ただし、病状や身体の状態によって必要性が認められる場合の例外的な仕組みがあり、医師の意見や市区町村の確認などを経て認められることがあります。自己判断であきらめず、まずケアマネジャーに例外給付の可能性を相談してみてください。全額自己負担でのレンタルという選択肢もあります。
気づいた時点で、事業所の福祉用具専門相談員か担当のケアマネジャーに連絡してください。状態の変化に合わせて調整や機種変更を相談できることが貸与の利点で、定期的なモニタリング(使用状況の確認)も仕組みに含まれています。合わない用具を使い続けると転倒などのリスクにつながるため、遠慮せず早めに伝えることが大切です。
レンタル料は品目・商品・事業所によって異なり、所得に応じて費用の1〜3割を自己負担します。貸与費は他の介護サービスと合算して区分支給限度額の枠内で管理されるため、枠の残りはケアマネジャーに確認しましょう。また、商品ごとに全国平均貸与価格が公表されており、事業所には価格の説明と複数商品の提示が求められています。具体的な金額は見積もりの場で確認してください。
新品とは限りません。福祉用具貸与では、返却された用具を事業所が消毒・点検したうえで再び提供する場合があります。衛生管理や点検の進め方は事業所ごとに異なるため、気になる場合は「消毒や点検はどのように行っていますか」と確認して問題ありません。なお、直接肌に触れる品目(腰掛便座や入浴補助用具など)は、貸与ではなく販売の対象とされています。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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