「うちの親に必要な福祉用具は何だろう」——この問いに、商品カタログは答えてくれません。必要な用具は、身体状況(何ができて、何が難しいか)と住環境(どんな家で暮らしているか)の掛け算で決まるからです。
同じ「要介護2で歩行が不安定」な方でも、平屋でトイレが寝室の隣にある家と、2階に寝室がありトイレまで廊下を10メートル歩く家では、必要な用具がまったく変わります。逆に、同じ家に住んでいても、つかまれば立てる方と、立ち上がりに介助が必要な方では、選ぶべき用具が違います。
この掛け算を専門的に行うのが、福祉用具専門相談員によるアセスメント(自宅訪問での確認)です。ただし、アセスメントは「受け身で受けるもの」ではありません。普段の暮らしを知っているのは、本人と家族だけです。訪問の短い時間では見えない実態——夜間の様子、調子の悪い日の動き、本人が隠しがちな失敗——を伝えられるかどうかで、選定の精度は大きく変わります。
この記事では、専門職に相談する前(あるいはアセスメントを受ける前)に、自分たちで体と住まいを整理しておくための実践的な枠組みを紹介します。むずかしい知識は不要です。「観察してメモする」だけで、相談の質が一段上がります。
なお、この整理は離れて暮らす家族にもできます。帰省のタイミングで観察する、電話やビデオ通話で本人に聞き取る、といった形でも、材料は集まります。遠距離介護の方こそ、限られた帰省時間を「観察とメモ」に使ってみてください。

