ベッドから車いすへ、車いすから便座へ——移乗(体を一方から他方へ移す動作)は、在宅介護の中でも介助者の身体的負担が大きい場面のひとつです。抱え上げる介助は、腰痛など介助者の体を痛める原因になりやすく、本人にとっても不安や恐怖を感じやすい動作です。
この負担を軽くする選択肢のひとつが、移乗ボード(スライディングボード)です。板状の用具をベッドと車いすの間などに橋渡しするように置き、その上を滑らせて体を移動させます。「持ち上げる」動作を「滑らせる」動作に変えることで、介助者の負担を大きく減らせる可能性があります。
ただし、移乗ボードは誰にでも合う用具ではありません。本人の座位バランスや体幹の力、介助者の技術によって、適性が大きく変わります。使い方を誤ると、かえって転倒やずれ落ちのリスクにつながることもあります。
この記事では、移乗ボードが向く場面、選定で確認するポイント、安全に使うための練習と注意点を解説します。移乗の負担に悩んでいる方は、この用具が選択肢になるかどうか、専門職と一緒に検討する材料にしてください。なお、移乗ボードは福祉用具貸与の対象となる場合があるため、詳細は事業所に確認しましょう。
この用具の名前を初めて聞く方も多いかもしれません。実際にどう使うのか、次の節から順番に見ていきましょう。
専門的に見えるかもしれませんが、要点は「困りごとを具体的に伝え、専門職と一緒に確かめながら進める」というシンプルな姿勢です。

