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介護ようひんさーち
品目別の選び方

車いすをレンタルするときの確認ポイント——タイプの違いから納品後まで

Published
作成日: 2026年6月28日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

介護保険で車いすをレンタルするときの確認ポイントを解説。自走式・介助式・電動などタイプの違い、要介護度の条件、体と住環境に合わせる視点、納品時と利用中の安全確認、事業所への聞き方まで整理したガイドです。

01車いすは「体に合わせて選ぶ」もの——自己判断で決めない

車いすは、福祉用具の中でも特に「合う・合わない」の個人差が大きい用具です。座る姿勢で長い時間を過ごす道具なので、体格や姿勢、使う場面に合っていないと、座り心地が悪いだけでなく、姿勢の崩れや腰・お尻への負担、こぎにくさによる疲労など、さまざまな不都合につながることがあります。

だからこそ、車いす選びの大原則は自己判断で決めないことです。「ホームセンターで見たものを買う」「カタログで良さそうなものを選ぶ」前に、福祉用具専門相談員に体の状態と使う場面を見てもらいましょう。介護保険のレンタル(福祉用具貸与)なら、専門相談員による選定・調整・定期的なモニタリングが仕組みに含まれています。

車いすがレンタル(貸与)を基本とする品目であることには、理由があります。体の状態は変化していくため、そのときどきに合う車いすも変わるからです。リハビリで自分でこげるようになったら自走式へ、長距離の外出が増えたら軽量タイプへ——交換しながら「いまの体に合うもの」を使い続けられるのが貸与の強みです。

この記事では、車いすの主なタイプ、介護保険で借りるための条件、体と住環境に合わせる視点、納品時と利用中の安全確認、そして事業所への聞き方まで、レンタルの検討に必要な確認ポイントを順番に整理します。

なお、この記事は「車いすを使うと歩けなくなる」という不安への答えも含んでいます。車いすは移動をあきらめる道具ではなく、行動範囲を保つための道具です。使う場面を限定して(外出時だけ、長距離だけ)活用する方も多くいます。使い方の設計も含めて、専門職と一緒に考えていきましょう。

02介護保険での位置づけ——借りられる条件を先に確認

車いすは福祉用具貸与の対象品目(13種目のひとつ)で、クッションなどの車いす付属品も別の種目として貸与の対象です。ただし、借りる前に確認しておきたい条件が2つあります。

(1)要介護度の条件:車いすと車いす付属品は、要支援1・2および要介護1の方は原則として保険給付の対象外です(軽度者への給付制限)。ただし、疾病などで状態が変動しやすい場合など、必要性が認められるときは例外給付の仕組みで利用できることがあります。軽度の認定でも、歩行の状態に不安があるなら、あきらめる前にケアマネジャーへ「例外給付の可能性はありますか」と相談してください。

(2)ケアプランへの位置づけ:介護保険で借りるには、ケアマネジャーが作るケアプランに車いすの利用が位置づけられていることが前提です。「なぜ車いすが必要か」(外出のため、屋内の移動のため、など)を困りごとベースで伝えることから始まります。

費用は、月々のレンタル料に対して所得に応じた1〜3割の自己負担です。車いすは商品によって価格帯の幅が大きい品目なので、見積もりの際には全国平均貸与価格との比較や、機能の異なる複数商品の提示を受けて選びましょう。貸与費は他の介護サービスと合算して区分支給限度額の枠内で管理されるため、枠の残りもケアマネジャーに確認しておくと安心です。

なお、電動車いすなど一部のタイプは、操作の適性確認が特に大切になります。この点は後の節で触れます。

03車いすの主なタイプ——違いをざっくり掴む

車いす選びの会話についていけるように、主なタイプの違いを整理しておきましょう。

車いすの主なタイプの区分図。駆動方式では自分で操作する自走式、介助者が押す介助式、モーターで動く電動があり、機能のバリエーションとして背もたれが倒れるリクライニング・ティルト型や、部品を体に合わせて調整できるモジュール型がある

駆動方式による分類

  • 自走式(自操式):後輪が大きく、自分の手でハンドリムを回して進むタイプ。自分で移動する力を保ちたい方に向きます。
  • 介助式:後輪が小さく、介助者が押して使うタイプ。自走式より軽量・コンパクトな傾向があります。
  • 電動車いす:モーターで走行するタイプ。操作にはある程度の判断力・操作能力が必要で、導入時には適性の確認が重要です。

機能のバリエーション

  • モジュール型:座面の幅や高さ、アームサポートなどの部品を体に合わせて調整・交換できるタイプ。
  • リクライニング/ティルト型:背もたれが倒れる、座面ごと角度が変わるなど、長時間の座位が難しい方や姿勢の保持が難しい方向けの機能を持つタイプ。

どのタイプが合うかは、「誰がこぐのか(本人か介助者か)」「どこで使うのか(屋内か屋外か)」「どのくらいの時間座るのか」で大きく変わります。名称を覚える必要はありません。この3つの問いへの答えを専門相談員に伝えれば、合うタイプを絞り込んでもらえます。

なお、貸与では「歩行車」や「シルバーカー」との混同にも注意が必要です。押して歩く歩行車は歩行器の仲間、荷物を運ぶためのシルバーカーはそもそも介護保険の対象外です。移動の何に困っているか(座って移動したいのか、歩行を支えたいのか)で品目自体が変わるため、迷ったら困りごとから相談しましょう。

04「体に合わせる」とはどういうことか——調整のポイント

車いすが体に合っているかどうかは、いくつかの寸法と調整で決まります。専門的な判断は福祉用具専門相談員に任せてよいのですが、何を見てくれているのかを知っておくと、相談の質が上がります。

  • 座幅:お尻に対して広すぎると姿勢が崩れやすく、狭すぎると窮屈になります。
  • 座面の高さ:足こぎで使う場合は足裏が床に届く高さか、立ち座りがしやすい高さか。
  • 背もたれの高さ・形状:体幹の支えがどのくらい必要か。
  • アームサポート・フットサポート:肘や足の置き場が合っているか、立ち座りの邪魔にならないか。
  • クッション:長時間座る方は、体圧を分散するクッション(車いす付属品として貸与対象)の併用を検討します。

こうした適合は、カタログのスペック表だけではわかりません。実際に座って、こいで(押して)みることが何より大切です。多くの事業所で試用(デモ)ができるので、「自宅で試してから決められますか」と聞いてみましょう。

また、体に合うかどうかは使う人が2人いることも忘れずに。介助式の場合、押す家族にとっての使いやすさ(ハンドルの高さ、ブレーキの操作性、折りたたみやすさ、車への積み込みやすさ)も同じくらい重要です。試用の際は、本人と介助者の両方で試してください。

なお、体の状態や姿勢に関わる細かい判断は、理学療法士などのリハビリ職の意見が参考になる場合もあります。リハビリ中の方は、担当のセラピストにも「車いすを検討している」と伝えておくとよいでしょう。

05住環境との相性——家の中を通れるか、置き場所はあるか

車いす選びでは、体との適合と同じくらい、住環境との相性が重要です。せっかく体に合う車いすでも、家の中で使えなければ役に立ちません。確認したいポイントを挙げます。

通路と出入口

  • 廊下やドアの幅を車いすが通れるか(全幅は商品によって異なります)
  • 曲がり角で回転できるか
  • 敷居などの段差を越えられるか(スロープの併用も選択肢)

生活の動線

  • 寝室からトイレ、リビング、玄関まで、実際に使う経路のどこに支障があるか
  • 食卓に車いすのまま入れるか(アームサポートの形状やテーブルの高さとの関係)

保管と外出

  • 使わないときの置き場所があるか(折りたたみの可否・サイズ)
  • 玄関の上がりかまちをどう越えるか
  • 車に積むことがあるなら、重さと折りたたみやすさ

こうした確認は、専門相談員の自宅訪問(住環境のアセスメント)で一緒に見てもらうのが確実です。「屋外用と屋内用で考え方を分ける」「屋内は歩行器、外出は車いす」といった組み合わせの提案が出てくることもあります。

屋外中心の利用なら、道路の状態(坂、段差、砂利道)や、よく行く場所(病院、スーパー)までの経路も伝えておくと、タイヤや重量の選定に活きてきます。生活をまるごと伝えるつもりで相談しましょう。

マンションの方は、エレベーターの奥行きや共用廊下の幅、駐輪場など共用部の保管ルールも確認ポイントです。管理規約に関わる場合もあるため、早めに管理会社へ確認しておくと安心です。

06納品時と利用中の安全確認——事故を防ぐ習慣

車いすは毎日使う移動具だからこそ、安全の確認を習慣にしたい用具です。

納品時に必ず確認すること

  • ブレーキの操作:本人と介助者の両方が、確実にかけられるか・解除できるかをその場で試す。
  • フットサポートの扱い:立ち座りのときに足を載せたままにしない、といった基本動作の確認。
  • 折りたたみと展開:介助者が一人でできるか。
  • してはいけないこと:坂道での取り扱い、段差の越え方、体を乗り出す動作の危険性など、「やってはいけない使い方」を具体的に聞く。

利用中に気をつけたいサイン

  • ブレーキの効きが弱くなった、片方だけ効きが悪い
  • タイヤの空気が抜けやすい、すり減ってきた
  • 異音、がたつき、ハンドリムのぐらつき
  • 座面やクッションのへたり

こうしたサインに気づいたら、モニタリングの時期を待たずに事業所へ連絡してください。貸与では点検・修理・交換の相談ができることが、レンタルの大きな価値です。

また、本人の状態変化も安全に直結します。「最近こぐ力が落ちてきた」「座っているときに傾くようになった」と感じたら、車いす自体の見直し時期かもしれません。介助する家族の腰の負担が増えてきた、といった介助側の変化も、遠慮なく相談材料にしましょう。使い方に不安が出てきた電動車いすについては、継続の可否も含めて早めに専門相談員へ相談してください。

07事業所への相談・見積もりで確認すること

車いすのレンタルを検討する段階になったら、事業所に確認したいことをリスト化しておきましょう。

事業所探しの段階

  • 福祉用具貸与の指定を受けているか
  • 自宅が営業エリアに入っているか
  • 車いすの取扱いの幅(自走式・介助式・モジュール型・電動などのタイプ、メーカーの幅)

相談・見積もりの段階

  • 「母は要介護2で、屋内は伝い歩き、外出時に車いすを使いたいです。どんなタイプが候補になりますか」(状況+使う場面を伝える)
  • 「機能と価格帯の違う候補を2〜3つ見せてください」
  • 「この商品の全国平均貸与価格と、御社の価格を教えてください」
  • 「自宅で試用できますか。介助する家族も一緒に試したいです」
  • 「クッションなどの付属品は、どんな組み合わせになりますか」

契約前の最終確認

  • 納品時の調整と使い方の説明の内容
  • 定期的なモニタリング・点検の進め方
  • 故障時の連絡先と対応スピード(夜間・休日を含む)
  • 状態が変わったときの機種変更の相談方法

車いすは、生活の行動範囲を左右する大切な用具です。焦って1回の相談で決めず、試用と比較の時間をとることをおすすめします。

介護ようひんさーちでは、住所から営業エリアに対応した事業所を絞り込み、車いすの取扱いと貸与の指定の有無で比較できます。相談先の候補探しから始めてみてください。

問い合わせの前に、本人の身長・体重、住まいの廊下幅、よく使う動線を簡単にメモしておくと、相談が一度で深まります。

08よくあるつまずきと、その避け方

最後に、車いすのレンタルでよくあるつまずきを、避け方とセットで紹介します。

(1)「とりあえず標準型」で決めて、あとから合わないと気づく:最初の1台こそ、体格と使う場面をきちんと伝えて選びましょう。とはいえ貸与なら交換で立て直せます。「合わないまま我慢」だけは避けてください。

(2)介助者の使い勝手を確認し忘れる:本人には合っていても、押す家族には重い・ブレーキが使いにくい、ということがあります。試用は必ず介助者も一緒に。

(3)家の中で使えない:廊下幅や段差の確認漏れです。専門相談員の自宅訪問で、実際の生活動線を見てもらってから決めましょう。

(4)軽度者の給付制限を知らずに話が止まる:要支援・要介護1の方は原則対象外ですが、例外給付の道があります。ケアマネジャーへの相談を飛ばさないこと。

(5)通販で購入してしまう:車いすは貸与が基本の品目です。一般の通販で購入すると、保険給付の対象にならないうえ、専門相談員による適合・調整・点検も受けられません。体に合わない車いすを使い続けるリスクを考えると、まず貸与での相談をおすすめします。

(6)状態が変わっても使い続ける:車いすは「一度決めたら終わり」ではなく、体に合わせて交換していくものです。モニタリングや日々の違和感を、見直しのきっかけにしてください。

どのつまずきも、「専門相談員・ケアマネジャーと一緒に選ぶ」「試してから決める」「変化があれば相談する」という基本で避けられます。納得のいく1台と出会うために、遠慮なく専門職を頼りましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

できます。車いすは福祉用具貸与の対象品目で、クッションなどの車いす付属品も貸与の対象です。ただし、要支援1・2および要介護1の方は原則として保険給付の対象外で、必要性が認められる場合の例外給付の仕組みがあります。利用にはケアプランへの位置づけが前提となるため、まずケアマネジャーに相談してください。費用は所得に応じてレンタル料の1〜3割の自己負担です。
自分の手でこいで移動する力を活かしたいなら後輪の大きい自走式、介助者が押すことが中心なら軽量でコンパクトな介助式が基本の考え方です。ただし、体の状態、使う場面(屋内か外出か)、介助者の状況によって最適解は変わります。福祉用具専門相談員に「誰が・どこで・どのくらい使うか」を伝えて、実際に試用したうえで決めるのがおすすめです。
商品のタイプや機能によって価格帯の幅が大きく、一律の金額はありません。自己負担はレンタル料の1〜3割(所得による)で、他のサービスと合算して区分支給限度額の枠内で管理されます。商品ごとに全国平均貸与価格が公表されており、事業所には価格の説明と複数商品の提示が求められているので、見積もりの場で比較しながら確認してください。
電動車いすも福祉用具貸与の対象に含まれますが、モーターで走行するため、操作の判断力や身体機能の適性確認が特に重要になります。導入の際は、福祉用具専門相談員やケアマネジャー、必要に応じて主治医とも相談し、試用を通じて安全に操作できるかを確認したうえで決めてください。要支援・要介護1の方は原則対象外(例外給付あり)の点は他の車いすと同様です。
事業所の福祉用具専門相談員に連絡して、調整や機種変更を相談してください。こぐ力の変化、姿勢の崩れ、介助者の負担増など、状態の変化に合わせて交換できることが貸与の利点です。定期的なモニタリングを待たず、気づいた時点で連絡してかまいません。ブレーキの効きの低下やがたつきなど用具側の不具合も、放置せず早めに点検を依頼しましょう。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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