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要支援・要介護1で使える福祉用具と原則対象外の品目——例外給付の相談まで

Published
作成日: 2026年6月28日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

要支援1・2、要介護1の方が介護保険で使える福祉用具と、車いす・介護ベッドなど原則対象外の品目を整理。制限の理由、例外給付が認められる場合の考え方、あきらめる前の相談の進め方までまとめたガイドです。

01「要介護1だと介護ベッドは借りられない」——本当のところ

「要介護1だから介護ベッドはダメと言われた」「要支援では車いすを借りられないの?」——軽度の認定を受けた方やそのご家族から、よく聞かれる疑問です。

結論を先に整理すると、こうなります。要支援1・2および要介護1の方(いわゆる軽度者)は、一部の品目について原則として保険給付の対象外。ただし、例外的に認められる仕組みがある。つまり「絶対に使えない」わけではなく、「原則はダメだが、必要性が認められれば道がある」のです。

この「原則」と「例外」の両方を知らないと、2つの失敗が起こります。ひとつは、本当は例外給付の可能性があるのに「無理だ」とあきらめてしまうこと。もうひとつは、制度を知らずに自己判断でレンタル契約を進めて、保険が使えないことにあとで気づくことです。

この記事では、軽度者でも使える品目と原則対象外の品目を整理したうえで、制限がある理由、例外給付の考え方、そして「あきらめる前に誰に何を相談するか」まで順番に説明します。

なお、ここでの「軽度者」は介護保険の要介護度にもとづく区分であり、ご本人の困りごとの深刻さを否定するものではありません。制度上の線引きと、実際の生活の困りごとは別の話です。困りごとがあるなら、制度の枠組みを知ったうえで、遠慮なく相談してください。

また、同じ「軽度」でも要支援と要介護1では、相談の窓口(地域包括支援センターか居宅介護支援事業所か)が違うことがあります。以降の説明では、どちらの場合もまとめて「ケアマネジャーに相談」と書きますが、窓口が不明なときは地域包括支援センターに聞けば案内してもらえます。

02軽度でも使える品目・原則対象外の品目の一覧

まず全体像です。福祉用具貸与の13種目を、軽度者の扱いで整理すると次のようになります。

要介護度別に福祉用具貸与の品目を整理したマトリクス図。手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえは要支援から利用可能。車いすや特殊寝台など8品目は要支援1・2と要介護1は原則対象外で例外給付あり。自動排泄処理装置は要介護3以下が原則対象外

要支援1から誰でも使える品目(4種目)

  • 手すり(工事をともなわない置き型など)
  • スロープ(工事をともなわないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ

要支援1・2、要介護1は原則対象外の品目(8種目)

  • 車いす/車いす付属品
  • 特殊寝台(介護ベッド)/特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト

要介護3以下は原則対象外の品目

  • 自動排泄処理装置(尿のみを吸引するタイプを除く)

なお、特定福祉用具販売(腰掛便座や入浴補助用具などの購入)には、このような要介護度による品目の制限は基本的にありません。また、2024年からの選択制対象品目(固定用スロープ・歩行器・単点杖・多点杖)は、いずれも軽度者が使える品目に含まれています。

この一覧を見るときの注意がひとつあります。「原則対象外」の品目でも、次の節以降で説明する例外給付の仕組みによって利用が認められる場合があるため、表の「▲」は「絶対に使えない」という意味ではありません。また、ここでの区分は介護保険の給付についての整理であり、全額自己負担でのレンタル自体は要介護度にかかわらず可能です。

まずはご自身(またはご家族)の要介護度と使いたい品目を照らし合わせて、「そのまま使える」のか「例外給付の相談が必要」なのかを確認するところから始めましょう。

03なぜ軽度だと使えない品目があるのか

「必要だから借りたいのに、なぜ制限されるのか」——もっともな疑問なので、制度の考え方を説明します。

介護保険の福祉用具は、利用者の自立を支援し、状態に合った生活を支えるための給付です。その観点から、車いすや特殊寝台のような品目は、自分で立ち上がる・歩く・起き上がる力が残っている方には、かえって使わない機能を提供してしまう可能性がある、と整理されています。たとえば、歩く力がある方が車いすを常用すると、歩く機会が減って体の機能が落ちてしまう懸念がある——こうした考え方が、軽度者への原則制限の背景にあります。

つまりこの制限は、「軽度の人にはもったいない」という費用の話だけではなく、「その人の残っている力を奪わないため」という自立支援の考え方にもとづいています。

この背景を知ると、例外給付の意味もわかりやすくなります。軽度と認定されていても、病状や身体状況によっては、これらの品目が本当に必要な場合があります。制度は、そうしたケースを「例外」として救済する道を用意しているのです。

ですから、「要介護1だからダメ」と門前払いのように感じたときも、感情的にあきらめる必要はありません。「私の状態は例外に当たる可能性がありますか」という問いを、ケアマネジャーに投げかけることが、正しい次の一手になります。

なお、この線引きは全国一律の原則ですが、例外給付の運用の細かさは市区町村によって差があります。「隣の市では認められたと聞いた」という話が出るのはこのためです。他の地域の事例はあくまで参考にとどめ、お住まいの市区町村での取り扱いを確認しましょう。

04例外給付とは——認められる場合の考え方

例外給付(軽度者に対する福祉用具貸与の例外)とは、原則対象外の品目でも、利用者の状態から必要性が認められる場合に、例外的に保険給付を認める仕組みです。

どんな場合に認められるかは品目ごとに考え方が示されていますが、おおまかには次のようなケースが想定されています。

  • 疾病などにより状態が変動しやすい:日や時間帯によって、起き上がりや歩行が困難になることがある。
  • 状態が急速に悪化するおそれがある:進行性の疾患などで、近い将来に品目が必要になることが医学的に見込まれる。
  • 身体への重大な危険や症状の悪化を防ぐ必要がある:医学的な判断から、その品目を使わないことのリスクが大きい。

判断には、医師の意見(主治医意見書や医学的な所見)や、ケアマネジメントでの検討、市区町村の確認などが関わります。認定調査の結果(基本調査の項目)から一定の状態が確認できる場合の取り扱いなど、細かい運用があり、手続きの詳細は市区町村によって異なります。

大切なのは、この判断は自分でするものではなく、専門職と行政が行うものだということです。利用者側がやることは、困っている実態を具体的に伝えること。「夜間に起き上がれないことが週に何度もある」「ベッドがないと一人で起きられず、家族が毎回抱え起こしている」といった具体的な事実が、検討の材料になります。

例外給付は「裏ワザ」ではなく、制度に組み込まれた正式な仕組みです。必要性があるなら、遠慮なく相談してください。

05例外給付の相談の進め方——誰に何を伝えるか

例外給付を検討したいときの進め方を、順を追って説明します。

ステップ1:ケアマネジャーに相談する。「特殊寝台を使いたいが、要介護1です。例外給付の可能性はありますか」と率直に聞いてください。まだケアマネジャーがいない場合は地域包括支援センターへ。

ステップ2:困っている実態を具体的に伝える。例外給付の検討では、状態の実態が重要です。次のような情報を整理しておきましょう。

  • いつ、どんな場面で、何ができないか(毎晩か、ときどきか)
  • 病名や治療の状況(主治医の診察を受けているか)
  • 家族の介助の実態(誰が、どのくらいの頻度で、何をしているか)

ステップ3:医師の意見・市区町村の手続きへ。必要性が見込まれる場合、ケアマネジャーが中心になって、医師の意見の確認や市区町村への手続きを進めます。ここは専門職に任せて大丈夫です。

ステップ4:結果を待つ間の安全確保。手続きには時間がかかることがあります。その間の転倒リスクなどが心配な場合は、軽度でも使える品目(手すり・歩行器など)でつなぐ、全額自己負担の保険外レンタルを短期間使う、といった選択肢をケアマネジャーと検討しましょう。

認められなかった場合も、状態が変わったときに再度検討できます。認定の区分変更申請(状態が悪化したときに要介護度を見直してもらう手続き)が適切な場合もあるため、「今の認定は実態に合っているか」という視点でも相談してみてください。

06軽度のうちにこそ活用したい品目——手すり・スロープ・歩行器・杖

原則対象外の品目に目が行きがちですが、軽度者への福祉用具の本命は、実は誰でも使える4種目(手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ)です。

これらは「転ばないための用具」です。要支援・要介護1の段階は、まだ自分で動ける力が残っている時期であり、この時期の転倒・骨折が状態を一気に悪化させてしまうことが少なくありません。だからこそ、動ける力があるうちに環境を整えることに意味があります。

  • 手すり:ベッドサイド、廊下、玄関、トイレなど、立ち座りと移動の要所に。工事不要の置き型・突っ張り型が貸与の対象です。
  • スロープ:敷居などのわずかな段差につまずく場合に。
  • 歩行器・歩行補助つえ:屋内外の移動の安定に。2024年からは選択制の対象にもなり、長く使うなら購入も選べます。

「まだ大丈夫」と感じている段階で用具を使い始めることに、抵抗を感じる方もいます。ただ、福祉用具は「弱った人のもの」ではなく、今の力を長く保つための道具でもあります。福祉用具専門相談員は、本人の力を奪わない範囲でどう環境を整えるか、という視点で提案してくれます。

また、住まいの段差や手すりの問題は、福祉用具ではなく住宅改修(工事をともなう手すり設置など)が合っている場合もあります。どちらの制度が合うかも含めて、ケアマネジャーや事業所に相談してみてください。

なお、選択制で購入を検討する場合も、初めて使う用具はまず貸与で試すほうが失敗しにくいという原則は同じです。

07例外給付が難しい場合の選択肢

例外給付が認められなかった場合や、手続きを待てない事情がある場合の選択肢も知っておきましょう。

(1)保険外(自費)レンタル:多くの事業所が、介護保険を使わない全額自己負担のレンタルも提供しています。保険給付に比べて負担は大きくなりますが、必要な用具をすぐに使い始められます。短期間のつなぎとしても選択肢になります。

(2)軽度でも使える品目での代替:目的によっては、対象外の品目にこだわらなくても解決できることがあります。「夜間の起き上がりが不安」なら、ベッド用手すり(特殊寝台付属品ではなく、置き型手すりとして扱われる商品)で解決する場合もあります。何が使えるかは商品の分類によるため、専門相談員に「この目的で、私が使える品目はありますか」と聞いてみましょう。

(3)状態が変わったら再度相談する:介護保険は、状態の変化に応じて認定を見直す仕組みがあります。転倒や入院などで状態が変わったときは、区分変更申請や例外給付の再検討ができます。

(4)市区町村の独自サービスを確認する:自治体によっては、介護保険とは別に高齢者向けの用具支給・貸与事業を行っている場合があります。内容は自治体ごとに大きく異なるため、市区町村の窓口で「介護保険以外で使える制度はありますか」と確認してみてください。

どの道を選ぶにしても、ひとりで決めずにケアマネジャーと相談しながら進めることが、結果的にいちばんの近道になります。

08まとめ——あきらめる前の確認リスト

最後に、軽度の認定を受けた方が福祉用具を検討するときの確認リストをまとめます。

まず確認すること

  • 使いたい品目は、軽度でも使える4種目(手すり・スロープ・歩行器・杖)に入っているか
  • 原則対象外の品目なら、例外給付の可能性についてケアマネジャーに相談したか
  • 困っている実態(いつ・どこで・何が・どのくらい)を具体的に伝えられるよう整理したか

相談の聞き方の例

  • 「要介護1ですが、夜間の起き上がりができず家族が毎回介助しています。特殊寝台の例外給付は検討できますか」
  • 「例外給付が難しい場合、同じ目的で私が使える品目はありますか」
  • 「保険外レンタルを短期間使う場合の費用も教えてください」

事業所探しの視点

  • 軽度者への提案経験が豊富か(例外給付の手続きに慣れているか)
  • 保険外レンタルの取り扱いがあるか
  • 手すりや歩行器など、予防的な品目の提案力があるか

介護ようひんさーちでは、住所・品目・指定の有無から地域の事業所を検索できます。「軽度だから」と入口であきらめず、使える品目の活用と例外給付の相談、両輪で進めてみてください。

なお、この記事は2024年度改定時点の制度にもとづいています。運用の詳細は市区町村によって異なり、制度自体も改定されることがあるため、最新の取り扱いは市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーへの確認をおすすめします。

困りごとの整理に迷ったら、1週間だけ「できなかったこと日記」をつけてみるのもおすすめです。相談の説得力が変わります。

FAQ

このガイドのよくある質問

あります。特殊寝台は要支援1・2、要介護1の方は原則対象外ですが、疾病などで状態が変動しやすい場合や、医学的に必要性が認められる場合には、例外給付という正式な仕組みで保険利用が認められることがあります。判断には医師の意見や市区町村の確認が関わるため、まずケアマネジャーに「例外給付の可能性はありますか」と相談してください。難しい場合も、全額自己負担のレンタルや代替品目の検討ができます。
手すり(工事をともなわない置き型など)、スロープ、歩行器、歩行補助つえの4種目は、要支援1から利用できます。これらは転倒予防に関わる品目で、動ける力が残っている時期にこそ環境を整える意味があります。2024年4月からは、このうち固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖・多点杖について、貸与と販売を選べる選択制も始まっています。
利用者が直接申請するというより、ケアマネジャーを中心に、困っている実態の確認、医師の意見、市区町村の確認などを経て判断されます。利用者側で大切なのは、いつ・どんな場面で・何ができないかを具体的に伝えることです。手続きの詳細や判断の運用は市区町村によって異なるため、担当のケアマネジャーか市区町村の介護保険窓口に確認しながら進めてください。
腰掛便座(ポータブルトイレ)や入浴補助用具などの特定福祉用具販売の品目には、貸与のような要介護度による原則対象外の仕組みは基本的にありません。要支援の方でも、指定事業所から購入すれば年度内の上限の範囲で保険給付を受けられます。ただし商品ごとの対象可否や手続きの詳細は、購入前に事業所と市区町村に確認してください。
手続きの間の安全確保は大切な視点です。軽度でも使える手すり・歩行器などで当面の環境を整える、全額自己負担の保険外レンタルを短期間使う、といった選択肢があります。費用と必要性のバランスを含めて、ケアマネジャーと事業所の福祉用具専門相談員に「手続き中のつなぎをどうするか」を相談してみてください。転倒リスクが高い場合は、その旨も具体的に伝えましょう。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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