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車いすで暮らす住まいの廊下幅・ドア幅は何cm必要?測り方と動線確認のポイントを表すイラスト住環境

車いすで暮らす住まいの廊下幅・ドア幅は何cm必要?測り方と動線確認のポイント

Published
作成日: 2026年7月9日
Updated
最終更新日: 2026年10月9日

車いすで暮らす住まいの通路は、国の設計指針で有効幅780mm以上(推奨850mm以上)、出入口は750mm以上(推奨800mm以上)が目安です。扉の厚みを差し引く測り方、向きを変える広さ、住宅改修との使い分けを整理します。

01車いすで暮らすとき、住まいの何を確かめる?

通路とドアの「有効な幅」、向きを変えるための広さ、移乗や介助に必要なスペースの3つです。数値の目安を知ったうえで、実際に使う車いすで試すのが確実です。

車いすでの生活では、歩いて暮らしていたときには気にならなかった廊下の幅やドアの開き方が、毎日の動きを左右します。車いす本体の幅に加えて、手でこぐための余裕や、介助する人が後ろや横に立つ場所も必要です。

先に、要点をまとめます。

  • 国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、通路の有効な幅員を780mm以上(柱などの箇所は750mm以上)、より配慮したレベルとして850mm以上(同800mm以上)を示している
  • 出入口の幅は750mm以上(浴室は600mm以上)、より配慮したレベルで800mm以上が目安。開き戸は扉の厚み、引き戸は引き残しを差し引いた「通れる幅」で測る
  • 数値は住まいを設計するときの目安。今の家が届かなくても、車いすの機種選び・家具の配置・スロープや手すりの組み合わせ・住宅改修で対応を考えられる

車いす自体の選び方は、車いすの選び方と確認ポイントで整理しています。この記事の制度の内容は2026年10月時点のものです。

02通路やドアの幅は、何cmあれば通れる?

車いすでの移動に必要な通路幅と扉幅の考え方を示す図。直進する通路と、扉を通過する際に必要な幅、方向転換に必要な回転スペースの違いを整理

国の住宅の設計指針では、通路は有効幅780mm以上、出入口は750mm以上が基本の目安で、介助用車いすでの生活に特に配慮するなら通路850mm以上・出入口800mm以上とされています。

「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号)は、加齢で体の機能が低下しても住み続けられるよう、住宅の設計で配慮する点を示したものです。介助用車いすを使う人が、排泄・入浴・就寝・食事・移動などの日常の動作をしやすくすることを想定しています。通路と出入口の幅は次のとおりです。

場所基本レベル推奨レベル
日常生活で使う通路780mm以上(柱などの箇所は750mm以上)850mm以上(柱などの箇所は800mm以上)
日常生活で使う出入口750mm以上(浴室は600mm以上)800mm以上

「有効な幅」の測り方

壁から壁までではなく、実際に車いすが通れる一番狭いところを測ります。指針では、玄関と浴室の出入口について、開き戸は扉の厚み、引き戸は開け切ったときに残る扉の分(引き残し)を差し引いた幅で考えるとしています。廊下なら、手すりや柱、幅木の出っ張りがあるところが一番狭くなりやすい場所です。

車いすの幅と比べる

測った幅は、使う予定の車いすの「全幅」(いちばん外側で測った幅)と比べます。自分でこぐ車いすは、手でハンドリムを回す分の余裕も必要です。介助用は介助者が後ろから押すため幅は抑えやすい一方、介助者が通る分の長さも必要になります。全幅はカタログや事業所の資料に載っているので、福祉用具専門相談員に、測った通路やドアの幅と一緒に伝えると機種の候補を絞りやすくなります。

まっすぐ通れても、曲がれないことがある

廊下からドアに入るときは、まっすぐ通過するよりも広い幅が必要です。廊下の幅とドアの幅がどちらも目安を満たしていても、廊下が狭いとドアの前で向きを変えられないことがあります。測った数値だけで判断せず、実際の車いすで曲がり角とドアの前を通ってみると、どこで引っかかるかが分かります。

03向きを変えるには、どのくらいの広さが要る?

直進よりも広いスペースが必要です。同じ指針では、共用部分で車いすを使うエレベーターホールに一辺1,500mmの正方形の空間を求めており、住まいの中でも寝室やトイレの前でこの広さを取れるかが一つの目安になります。

住まいの中で向きを変える場面は、部屋の入口、ベッドの横、トイレや洗面所の前など、意外と多くあります。

回転できない場所は「後ろ向きで出る」動線にする

トイレや洗面所のように狭い場所では、入ったまま向きを変えられないことがあります。その場合は、前向きで入り、後ろ向きで出る動き方を前提に、後ろに障害物がないかを確かめます。

家具を動かすだけで広さが変わる

回転に必要な広さは、床に置いた家具やマットで簡単に狭くなります。寝室のサイドテーブルや廊下の収納棚を壁際に寄せる、玄関マットを外すといった調整で、向きを変えられるようになることもあります。

電動車いすは動きが違う

電動車いすは、手動の車いすと回転のしかたや必要な広さが異なる場合があります。導入を検討している場合は、自宅でデモ機を動かし、狭い場所での切り返しを本人が無理なくできるかを確かめます。試用の頼み方は福祉用具を試用(デモ)するときの確認ポイントで整理しています。

04部屋ごとに、どこを確認すればいい?

毎日必ず通る場所から順に、玄関・トイレ・寝室・浴室・リビングで「通れるか」「止まって移れるか」を確かめます。

玄関

上がり框などの段差、スロープを置く場所、屋外用と室内用の車いすを乗り換える場合のスペースを確認します。段差の対策は玄関の段差に使う福祉用具の考え方で詳しく扱っています。

トイレ

便器の横や前に車いすを止められるか、便器までの距離、つかまる手すりの位置を確認します。限られた広さでの配置はトイレで福祉用具を使うときの確認ポイントが参考になります。

寝室

ベッドと車いすを並べて移乗できるか、ベッドのまわりで向きを変えられるかを確認します。介護ベッドを置く広さは介護ベッドを置くのに必要なスペースは?で整理しています。

浴室・脱衣所

脱衣所から浴室への段差と出入口の幅、洗い場で車いすやシャワーチェアに移る場所を確認します。浴室の出入口は指針の目安自体が他の部屋より狭く設定されているため、車いすのまま入れるとは限りません。

リビング・キッチン

長く過ごす場所なので、家具の間を通れるか、よく使う物に手が届くかを確認します。

全部を一度に整える必要はありません。今いちばん困っている場所を1つ選び、そこで「何ができないか」を具体的に書き出すと、相談が進めやすくなります。

05家具の配置換えと住宅改修、どちらで対応する?

まず家具の移動や福祉用具で対応できるかを確かめ、扉の交換や段差の解消など工事が必要な部分だけを住宅改修で検討します。

家具の配置換えで対応できること

通路にはみ出した家具を動かす、床の物を減らす、ドアを開けたままで使えるようにするといった調整は、費用をかけずにすぐ試せます。

福祉用具で対応できること

段差には置くタイプのスロープ、立ち座りや移乗には置き型の手すりなど、工事をしない用具で対応できる場合があります。

住宅改修が必要になること

開き戸を引き戸などに替える、段差を解消するといった工事は、介護保険の住宅改修費の対象になり得ます。住宅改修費は工事の前に申請が必要なので、着工前に必ずケアマネジャーに相談します。工事と用具の使い分けは住宅改修と福祉用具の使い分けで整理しています。

賃貸住宅では、壁や扉の工事が難しいことがあります。その場合は、家具の配置と工事をしない用具の組み合わせを先に考え、工事が必要な部分は家主や管理会社に相談します。

06介助する人のスペースは、どう考える?

本人の車いすが通れる幅に加えて、介助者が後ろや横に立って押したり、移乗を手伝ったりする場所が要ります。

押して進むときのスペース

介助用の車いすでは、介助者が車いすの後ろを歩きます。曲がり角では、車いすの長さと介助者の体の分を合わせた広さが必要になります。

移乗を手伝うときのスペース

ベッドやトイレで乗り移るときは、介助者が本人の正面や横に立つ場所が必要です。身体の状態によっては2人で介助することもあり、その分の広さも考えます。

介助者の動きは、本人だけで確認していると見落としやすい部分です。実際に介助する家族やヘルパーと一緒に、いつもの動作をしてみながら確認すると、狭くて腰をひねっている場所などに気づけます。

07介護保険で使える用具と、相談の進め方は?

スロープや手すりは要支援1から借りられますが、車いす本体は要支援1〜要介護1の方は原則として対象外です。ケアマネジャーに困っている場面を伝え、福祉用具専門相談員に自宅を見てもらう流れで進めます。

介護保険の福祉用具貸与のうち、手すり(工事を伴わないもの)・スロープ(工事を伴わないもの)・歩行器などは要支援1から利用できます。一方、車いすと車いす付属品は、要支援1・2と要介護1の方は原則として対象外で、例外的に使える条件があります。詳しくは要支援・要介護1で使える福祉用具と原則対象外の品目で確認してください。

相談の進め方

  1. ケアマネジャーに、車いすで困っている場所と動作を具体的に伝える
  2. 福祉用具専門相談員や作業療法士に自宅を見てもらい、測った幅や回転できる場所を一緒に確かめる
  3. ケアプランに位置づけたうえで、福祉用具のレンタル・購入、または住宅改修を進める

費用の仕組み

福祉用具のレンタルは月々のレンタル料の1〜3割、住宅改修は支給限度額の範囲で費用の7〜9割が払い戻される仕組みです。実際の金額は機種や工事内容で変わるため、事業所の見積もりで確認します。

08まとめ——数値の目安と、実際に通ってみることの両方で確かめる

この記事で持ち帰れること:

  • 国の住宅の設計指針では、通路は有効幅780mm以上(推奨850mm以上)、出入口は750mm以上(推奨800mm以上、浴室は600mm以上)が目安。開き戸は扉の厚み、引き戸は引き残しを差し引いて測る
  • 向きを変えるには直進より広い場所が要る。回転できない場所は後ろ向きで出る動線にするか、家具の配置で広さをつくる
  • 家具の移動・工事をしない福祉用具・住宅改修の順に検討し、住宅改修は着工前に申請する

まずはメジャーを用意して、寝室からトイレまでの通路といちばん狭いドアの幅を測り、メモしてみてください。その数値を持ってケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると、合う車いすや用具の候補が具体的になります。車いすやスロープを扱う事業所は、介護ようひんさーちの事業所検索で自宅の住所から探せます。

FAQ

このガイドのよくある質問

国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、通路の有効な幅員を780mm以上(柱などの箇所は750mm以上)、介助用車いすでの生活に特に配慮したレベルで850mm以上としています。実際に必要な幅は車いすの全幅や曲がり角の有無で変わるため、使う車いすで通ってみて確認してください。
実際に車いすが通れる一番狭いところを測ります。指針では玄関と浴室の出入口について、開き戸は扉の厚み、引き戸は開け切ったときに残る扉の分を差し引いた幅で考えるとしています。出入口の目安は750mm以上(浴室は600mm以上)、より配慮したレベルで800mm以上です。
まずは費用をかけずに試せる家具の配置換えや、工事をしない福祉用具で対応できるかを確認します。扉を引き戸に替える、段差をなくすといった工事が必要な場合は、介護保険の住宅改修費を検討します。住宅改修費は工事の前の申請が必要なので、着工前にケアマネジャーに相談してください。
はい。介助用の車いすでは介助者が後ろを歩くため、曲がり角では車いすと介助者を合わせた広さが要ります。ベッドやトイレで移乗を手伝うときも、介助者が立つ場所が必要です。実際に介助する家族やヘルパーと一緒に、いつもの動作をしながら確認してください。
毎日必ず通る場所(寝室からトイレまでの通路、トイレ、寝室など)から確認します。すべてを一度に整える必要はなく、困りごとが大きい場所で何ができないかを書き出し、福祉用具専門相談員や作業療法士に自宅を見てもらいながら優先順位を決めると進めやすくなります。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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