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費用・自己負担

福祉用具の費用と自己負担の仕組み——レンタルと購入でお金の流れはこう違う

Published
作成日: 2026年6月28日
Updated
最終更新日: 2026年7月9日

福祉用具の費用の仕組みをやさしく解説。1〜3割の自己負担、貸与の区分支給限度額、購入の償還払いと年度内上限、全国平均貸与価格との比較まで、見積もり前に知っておきたい確認ポイントを整理しました。

01福祉用具の費用は「借りる」と「買う」で仕組みがまったく違う

福祉用具の費用について調べ始めると、「月額いくら」という情報と「購入していくら戻る」という情報が混ざって出てきて、混乱しがちです。最初に押さえたいのは、介護保険の福祉用具には貸与(レンタル)と販売(購入)の2つの仕組みがあり、お金の流れがまったく違うということです。

貸与は、月々のレンタル料に対して、所得に応じた1〜3割を自己負担する仕組みです。支払いは毎月続きますが、1回あたりの負担は小さく抑えられます。貸与費は、訪問介護やデイサービスなど他の介護サービスと合算して、区分支給限度額という月ごとの枠の中で管理されます。

販売は、購入時にいったん全額を支払い、市区町村へ申請すると保険給付分(7〜9割)が払い戻される償還払いが基本です。支給されるのは同一年度内の購入費支給限度基準額という上限の範囲内で、この枠は貸与の限度額とは別に管理されます。

福祉用具の貸与と販売の費用の流れを比較した図。貸与は月々のレンタル料の1〜3割を自己負担し区分支給限度額の枠内で管理、販売はいったん全額を支払い申請後に保険給付分が払い戻される

この記事では具体的な金額ではなく、「どういう仕組みでいくら払うことになるのか」「何を確認すれば見通しが立つのか」を順番に整理します。実際の金額は品目・商品・お住まいの地域で変わるため、最後は見積もりでの確認が必要です。

なお、「福祉用具はお金がかかりそうだから」と導入を先延ばしにした結果、転倒などでかえって大きな負担につながるケースもあります。費用の仕組みを知ることは、単に節約のためではなく、「必要なものを、納得できる形で使い始める」ための準備だと考えてください。

02自己負担は所得に応じて1〜3割——負担割合証で確認できる

介護保険のサービスは、かかった費用の全額ではなく、所得に応じた1〜3割を自己負担する仕組みです。福祉用具の貸与・販売も同じ考え方が適用されます。

自分(またはご家族)の負担割合が何割かは、要介護・要支援の認定を受けた方に交付される介護保険負担割合証で確認できます。毎年見直されるため、「去年は1割だったのに今年は2割になっていた」ということも起こり得ます。見積もりの前に、手元の負担割合証で現在の割合を確認しておきましょう。

負担割合が変わると、同じレンタル料の商品でも毎月の支払い額が変わります。たとえば貸与を長く続ける場合、年度の切り替わりで負担割合が変わる可能性があることは、家計の見通しとして知っておきたいポイントです。

なお、介護保険の自己負担が高額になった場合に負担を軽減する仕組み(高額介護サービス費など)もありますが、対象になる費用の範囲や手続きには条件があります。福祉用具の購入費や住宅改修費は対象外とされるなど、細かい線引きがあるため、「うちの場合はどの費用が軽減の対象になりますか」と市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーに確認するのが確実です。

負担割合証を紛失した場合は、市区町村の窓口で再交付を受けられます。相談や見積もりの場では提示を求められることがあるので、介護保険証とセットで保管しておくと安心です。

また、世帯の状況(同一世帯の所得や人数)によって負担割合の判定が変わる場合があります。「なぜうちは2割なのか」という疑問があれば、判定の内訳を市区町村の介護保険窓口で確認できます。

03貸与の費用——月額レンタル料と区分支給限度額の関係

貸与の費用を考えるときは、次の2段階で見通しを立てます。

第1段階:月額レンタル料×負担割合。レンタル料は品目・商品・事業所によって異なります。その1〜3割が毎月の自己負担です。

第2段階:区分支給限度額の枠との関係。介護保険では、要介護度ごとに1か月に保険給付で使えるサービス量の上限(区分支給限度額)が決まっています。福祉用具貸与は、訪問介護・デイサービスなどと合算してこの枠の中で管理されます。枠の中に収まっていれば自己負担は1〜3割のままですが、枠を超えた分は全額自己負担になります。

つまり、「レンタル料が安いかどうか」だけでなく、「いまの限度額の枠にどのくらい余裕があるか」が重要です。すでにサービスを多く使っている方が新たに用具を借りる場合は、ケアマネジャーに「福祉用具を追加しても限度額に収まりますか」と確認しましょう。ケアプラン全体の調整で収まるようにできる場合もあります。

また、貸与は月単位の契約が基本ですが、月の途中で借り始めた場合・返却した場合の日割り計算の有無は事業所によって扱いが異なることがあります。短期間の利用を見込んでいる場合は、契約前に「月途中の開始・返却のときの計算方法」を確認しておくと、想定外の請求を防げます。

なお、要介護度が変わると区分支給限度額も変わります。認定の更新や区分変更のタイミングでは、「いま借りている用具はこのまま続けられるか」「枠の余裕はどう変わるか」をケアマネジャーと一緒に確認しておくと安心です。

04貸与価格は比較してよい——全国平均貸与価格と上限の仕組み

「レンタル料は事業所によって違うの?」という疑問には、「違うことがあります。そして比較してよい仕組みになっています」というのが答えです。

福祉用具のレンタル料は事業所ごとに設定されていますが、2018年(平成30年)10月から、次の仕組みが導入されています。

  • 全国平均貸与価格の公表:商品ごとに、全国の平均的な貸与価格が公表されています。
  • 貸与価格の上限設定:商品ごとに貸与価格の上限が設けられ、極端に高い価格づけができないようになっています。
  • 事業所の説明義務:事業所は、貸与しようとする商品について、全国平均貸与価格と自事業所の価格をあわせて利用者に説明することになっています。
  • 複数商品の提示:機能や価格帯の異なる複数の商品を提示することになっています。

この仕組みを知っていると、見積もりの場で「この商品の全国平均価格はいくらですか」「もう少し価格帯の違う候補も見せてください」と聞くことに、遠慮はいらないとわかります。制度が想定している正当な確認だからです。

同じ商品でも事業所によって価格が異なる場合があるため、複数の事業所から見積もりを取って比較することもできます。ただし、価格だけで選ぶのではなく、納品時の調整の丁寧さ、点検・モニタリングの体制、故障時の対応スピードといったサービスの質もあわせて比較することをおすすめします。

公表されている平均価格や上限は改定されることがあるため、契約時点の最新情報で確認することも忘れずに。

05販売の費用——償還払いと同一年度内の上限

購入(特定福祉用具販売)の費用は、貸与とは別の仕組みで動きます。

基本は償還払いです。購入時に商品代金の全額をいったん支払い、市区町村に申請すると、負担割合に応じた保険給付分(7〜9割)が後日払い戻されます。つまり、手元から一時的にまとまったお金が出ていくことになります。家計のタイミングとして厳しい場合は、最初から自己負担分だけを支払えばよい受領委任払いの仕組みがあるかを市区町村や事業所に確認しましょう。使えるかどうかは自治体・事業所によって異なります。

支給には年度内の上限があります。同一年度内の購入費支給限度基準額の範囲内が支給対象で、上限を超えた分は全額自己負担です。この枠は貸与の区分支給限度額とは別枠なので、「貸与をたくさん使っているから購入枠がない」ということはありません。逆に、年度内に複数の品目を購入する予定がある場合は、上限との関係を事前にケアマネジャーか市区町村に確認しておきましょう。

手続き面では、(1)指定を受けた事業所からの購入であること、(2)市区町村によっては購入前の事前申請が必要なこと、(3)申請には領収書などの書類が必要なこと、の3点を購入前に確認しておくと、「支払ったのに支給されない」という失敗を防げます。申請の期限や書類の詳細は市区町村ごとに異なります。

また、購入予定の商品が「そもそも特定福祉用具販売の対象商品か」の確認も忘れずに。同じような商品でも、保険対象外のものを買ってしまうと給付は受けられません。商品単位の対象可否は事業所に確認するのが確実です。

06選択制の品目——「借り続ける」と「買う」の費用の考え方

2024年(令和6年)4月からの選択制では、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖について、貸与と販売のどちらを使うかを選べるようになりました。費用の面では、「月々の支払いを続ける」か「一度買って終わりにする」かの選択になります。

考え方の軸はシンプルです。使う期間が短い・不確実なら貸与が有利になりやすく、長く使い続ける見込みが強いなら購入がなじむ場合があります。貸与は使った月数分の支払いが続くため、利用が長期になるほど支払い総額は積み上がっていきます。一方、購入は最初にまとまった支払いがあるものの、その後の月々の支払いはありません。

ただし、金額の比較だけで決めるのは危険です。貸与には点検・調整・交換といったフォローが含まれており、購入ではそれらが基本的になくなります。体の状態が変わって用具が合わなくなったとき、貸与なら交換で対応できますが、購入では買い替えが必要になることがあります。

選択制の品目を検討するときは、事業所に「私の場合、貸与と販売でそれぞれ費用と負担はどうなりますか」と両方の見積もり・説明を求めましょう。選択制では、専門相談員から貸与・販売双方のメリットとデメリットの説明を受けたうえで選ぶことになっているので、説明が足りないと感じたら追加の質問をして構いません。

なお、厚生労働省の資料では、選択制対象品目の平均的な利用月数はおおむね1年前後とされています。「平均より長く使いそうか」をひとつの目安として、ご自身の見込みと照らしてみるのも判断の助けになります。

07費用が不安なとき・抑えたいときの確認先

「年金の範囲でやりくりしたい」「介護の費用全体が心配」——そんなときに使える確認先を整理します。

(1)ケアマネジャー:最初の相談先です。区分支給限度額の残り、ケアプラン全体での優先順位、費用を抑えた組み合わせの工夫など、全体を見て調整してもらえます。「予算感としてこのくらいに収めたい」と率直に伝えることが、現実的なプランへの近道です。

(2)事業所(福祉用具専門相談員):機能や価格帯の異なる複数商品の提示を受けられます。「同じ目的で、もう少し価格を抑えた商品はありますか」という聞き方が有効です。

(3)市区町村の介護保険窓口:負担割合、受領委任払いの可否、購入の申請手続き、負担軽減の仕組みなど、制度面の確認ができます。自治体によっては、介護保険とは別に高齢者向けの用具支給・助成事業を設けている場合もあるため、「介護保険以外に使える制度はありますか」と聞いてみる価値があります(内容は自治体によって大きく異なります)。

(4)地域包括支援センター:まだ要介護認定を受けていない段階や、ケアマネジャーがいない場合の総合窓口です。

避けたいのは、費用の不安から相談せずに自己判断で「保険を使わず通販で安く買う」ことです。保険給付や専門職の選定支援を受けられず、結果的に高くつく・体に合わないというリスクがあります。不安はそのまま、上の窓口にぶつけてみてください。

08見積もり・相談で確認すること——チェックリストと聞き方の例

最後に、費用まわりで実際に確認することをチェックリストにまとめます。

見積もり前に手元で確認

  • 介護保険負担割合証で自分の負担割合(1〜3割)を確認
  • ケアマネジャーに区分支給限度額の残りを確認(貸与の場合)

見積もりの場で確認

  • 商品名・型式と、月額レンタル料(貸与)または本体価格(販売)
  • 全国平均貸与価格と、この事業所の価格の差(貸与)
  • 搬入・設置・調整にかかる費用の有無
  • 月途中の開始・返却時の計算方法(貸与)
  • 受領委任払いの可否と、申請手続きの流れ(販売)

聞き方の例

  • 「負担割合は1割です。この商品だと毎月の自己負担はいくらになりますか」
  • 「全国平均貸与価格と比べて、御社の価格はどのくらいですか」
  • 「機能がシンプルでもよいので、価格を抑えた候補も見せてください」
  • 「購入の場合、私の市では事前申請が必要ですか。受領委任払いは使えますか」

費用の話は聞きにくいと感じる方が多いのですが、価格の説明や複数候補の提示は制度が事業所に求めていることです。納得できるまで確認してから契約に進みましょう。

介護ようひんさーちでは、住所・品目・指定の有無から見積もり相談のできる事業所を検索できます。複数の事業所を比較したいときにもご活用ください。

なお、見積もりは1回で決めなければいけないものではありません。「家族と相談してから決めます」と持ち帰り、比較・検討してから返事をするのはまったく問題のない進め方です。

FAQ

このガイドのよくある質問

レンタル料は品目・商品・事業所によって異なるため、一律の金額はありません。自己負担はレンタル料の1〜3割(所得に応じて負担割合証で確認できます)で、他の介護サービスと合算して区分支給限度額の枠内で管理されます。商品ごとに全国平均貸与価格が公表されており、事業所には価格の説明と複数商品の提示が求められているので、見積もりの場で遠慮なく確認してください。
要介護・要支援認定を受けた方に交付される「介護保険負担割合証」に記載されています。負担割合は所得や世帯の状況に応じて毎年見直されるため、年度の切り替わりで変わることがあります。見積もりや契約の前に、手元の負担割合証で現在の割合を確認しておきましょう。紛失した場合は市区町村の窓口で再交付を受けられます。判定内容の疑問も市区町村で確認できます。
貸与の場合、区分支給限度額(他の介護サービスと合算した月ごとの枠)を超えた分は全額自己負担になります。購入の場合は、同一年度内の購入費支給限度基準額を超えた分が全額自己負担です。どちらも「知らないうちに超えていた」を防ぐために、新しく用具を使い始める前にケアマネジャーへ枠の残りを確認するのがおすすめです。
自治体によっては、最初から自己負担分(1〜3割)だけを支払えばよい「受領委任払い」の仕組みを使える場合があります。使えるかどうかは市区町村と事業所の対応状況によるため、購入前に「受領委任払いは使えますか」と確認してください。使えない場合は、いったん全額を支払い、申請後に保険給付分が払い戻される償還払いになります。
まず、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示してもらい、目的に対して過不足のない商品を選ぶことです。次に、全国平均貸与価格と事業所の価格を比べること、複数の事業所で見積もりを取ることも有効です。そのうえで、ケアプラン全体の優先順位はケアマネジャーに相談を。自治体独自の助成制度の有無を市区町村に聞いてみるのもよいでしょう。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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