自動排泄処理装置は、要介護4・5の方が原則の対象です。要支援1・2、要介護1〜3の方(軽度者)は、尿便両方を吸引するタイプに限り、医師の所見とサービス担当者会議の判断があれば例外的に使える場合があります。装置本体はレンタル、肌に直接触れるレシーバーやチューブなどの交換部品は購入という、ひとつの用具の中で制度が分かれる点も押さえておきたいポイントです。

「排泄の失敗が増えてきて、本人も家族もつらい」「夜間のトイレ介助が負担で、家族の睡眠時間が削られている」——そうした状況で候補にあがる福祉用具のひとつが、自動排泄処理装置です。ただし、他の福祉用具と比べても対象になる要介護度の基準が独特で、レンタルと購入が部品ごとに分かれる仕組みも分かりにくいため、検討の入口でつまずきやすい用具でもあります。

先に、要点をまとめます。

  • 自動排泄処理装置の本体は福祉用具貸与(レンタル)の対象で、原則要介護4・5の方が対象
  • 尿のみを吸引するタイプは要介護度を問わず貸与できるため、そもそも例外給付の対象にならない
  • 尿便両方を吸引するタイプは、要支援1・2〜要介護3の方でも医師の所見等があれば例外的に使える場合がある
  • レシーバー・チューブ・タンクなど肌に触れる交換部品は貸与の対象外で、特定福祉用具販売(購入)の対象

なぜここまで基準が細かく分かれているのか、そしてどう相談を進めればよいのか、順番に見ていきます。

自動排泄処理装置は、なぜ要介護4・5が原則の基準?

寝たきりに近く、自力での排泄動作が難しい状態を想定した用具であるためです。要介護4・5は、日常生活の多くの場面で全面的な介助を必要とする段階にあたります。

福祉用具貸与13種目のうち、自動排泄処理装置を含む9種目(車いす・車いす付属品・特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置)は、要支援1・2、要介護1の方(軽度者)について原則保険給付の対象外とされています。厚生労働省の資料でも、これらの品目は「その状態像からみて使用が想定しにくい」ことを理由に、原則算定できないと整理されています(厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」)。

ただし自動排泄処理装置は、この9種目の中でもさらに基準が厳しく、要介護2・3の方も原則対象外です(健康長寿ネット「自動排泄処理装置」)。他の8種目が「軽度者=要支援1・2、要介護1」を基準にしているのに対し、自動排泄処理装置だけは「要介護4・5のみが原則」という、より限定された基準になっている点が特徴です。

尿のみを吸引するタイプなら、要介護度に関係なく使える?

使えます。尿のみを自動的に吸引するタイプは、要介護度を問わず貸与の対象になるため、そもそも例外給付という枠組み自体が不要です。

自動排泄処理装置には、大きく分けて「尿のみを吸引するタイプ」と「尿と便の両方を吸引するタイプ」があります。この2つは、介護保険上の扱いがまったく異なります。

  • 尿のみを吸引するタイプ: 要介護認定区分を問わず貸与が可能。要支援1でも要介護5でも、必要性が認められれば利用できる
  • 尿と便の両方を吸引するタイプ: 原則として要介護4・5の方が対象。要支援1・2〜要介護3の方は、後述する例外給付の手続きを経ないと使えない

「自動排泄処理装置=要介護度が厳しく制限される」と一律に考えるのではなく、まずタイプによって扱いが違うことを確認するのが、検討の最初の一歩になります。どちらのタイプが必要かは、ご本人の排泄状況(尿失禁のみか、便失禁も伴うか)によって決まるため、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に、排泄の状況を具体的に伝えて相談してみてください。

自動排泄処理装置の判断フロー。尿のみを吸引するタイプは要介護度を問わず貸与可能。尿便両方を吸引するタイプは要介護4・5なら原則貸与、要支援1・2〜要介護3は医師の所見とサービス担当者会議の判断があれば例外給付の対象になり得る

要介護3以下でも、尿便両用タイプを使える場合がある?

あります。医師の医学的所見とサービス担当者会議での判断があれば、要支援1・2〜要介護3の方でも例外給付として尿便両用タイプを使える場合があります。

軽度者への福祉用具貸与の例外給付は、市区町村ごとの確認申請の仕組みを通じて認められます。自動排泄処理装置(尿便両用タイプ)についても、他の軽度者例外給付の品目と同様に、次のような要素が確認されます(名古屋市「軽度者に係る福祉用具貸与費の例外給付について」ほか自治体資料に基づく)。

  • 医師の医学的所見: かかりつけ医などから、その用具が必要であるという医学的な判断が示されていること
  • サービス担当者会議での判断: ケアマネジャーが招集する会議で、多職種が本人の状態や生活環境を踏まえて必要性を検討すること
  • 居宅サービス計画(ケアプラン)への記載: 「特に必要である理由」を明記すること
  • 要介護更新認定や区分変更のタイミングで、あらためて必要性が確認されること

自己判断で「うちは要介護3だから使えない」と決めつけず、まずはケアマネジャーに排泄の状況を相談することが出発点になります。例外給付の手続きは自治体ごとに確認申請書の書式や提出タイミングが異なるため、具体的な進め方はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または福祉用具専門相談員に確認してください。軽度者の例外給付全体の考え方は、要支援・要介護1で使える福祉用具と例外給付ガイドでも整理しています。

本体とレシーバー・チューブで、なぜレンタルと購入が分かれる?

レシーバー・チューブ・タンクなど排泄物の経路になる部品は、肌に直接触れて衛生管理が必要なため、他の利用者との使い回しに向かず、購入(特定福祉用具販売)の対象とされているためです。

自動排泄処理装置は、2018年の制度改定により、本体は貸与のみ、交換可能部品は購入のみという扱いに整理されました(健康長寿ネット「自動排泄処理装置の交換可能部品」)。

  • 本体: セット・水洗い・乾燥などの機能を持つ装置そのもの。福祉用具貸与の対象で、定期的な点検・消毒をしたうえで繰り返し貸し出される
  • 交換可能部品(レシーバー・チューブ・タンク等): 尿や便が直接触れる経路部分。特定福祉用具販売の対象で、個人専用として購入する

この分け方は、移動用リフトの「本体はレンタル、身体を支えるつり具は購入」という考え方と同じ理屈です(詳しくは移動用リフトはレンタル、つり具は購入でも整理しています)。肌に直接触れて衛生面の管理が必要な部分だけを購入に区分し、それ以外は繰り返し使えるレンタルにするという考え方が、福祉用具貸与制度全体を通じて一貫しています。

交換部品の購入費用は、特定福祉用具購入費として、年度内の支給限度基準額(原則10万円)の範囲内で1〜3割の自己負担で購入できます。限度額や年度をまたぐ場合の考え方は、福祉用具の購入費、年度をまたぐとどうなる?で整理しています。装置ごとに適合する部品が決まっているため、購入前に「今使っている(または使う予定の)本体に対応する部品か」を事業所に確認することが欠かせません。

導入を迷うとき、何から相談を始めればいい?

まずは排泄の状況(尿失禁のみか、便失禁も伴うか)と、日中・夜間どちらの負担が大きいかを、担当のケアマネジャーか福祉用具専門相談員に具体的に伝えることから始めます。

自動排泄処理装置は、他の福祉用具と比べても体に直接関わる用具のため、「本人が受け入れられるか」「介助者の負担がどう変わるか」の両方を考えながら検討を進めることになります。実際の相談では、次のような順番で進むことが多いです。

  1. ケアマネジャーに排泄の状況を伝える: 尿失禁のみか便失禁も伴うか、夜間の頻度、現在の介助方法(ポータブルトイレ・おむつ等)を具体的に伝える
  2. 福祉用具専門相談員から製品説明を受ける: 尿のみ吸引タイプ・尿便両用タイプそれぞれの特徴、本体の設置スペース、交換部品の費用感について説明を受ける
  3. 要介護度に応じて手続きを確認する: 要介護4・5であれば通常の貸与手続き、要介護3以下であれば医師の所見取得とサービス担当者会議の日程を確認する
  4. 本人の受け入れ状況を確認しながら試用する: 事業所によっては短期間のお試し利用に対応している場合がある。本人が抵抗を感じる場合は、無理に導入せず時間をかけて説明する

排泄に関わる用具は、本人の尊厳に直結するデリケートな話題でもあります。家族だけで結論を急がず、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員という第三者を交えて、本人の気持ちも確認しながら進めることが、後悔の少ない導入につながります。

この記事で持ち帰れること

  • 自動排泄処理装置は、尿のみ吸引タイプなら要介護度を問わず貸与できるが、尿便両用タイプは原則要介護4・5が対象で、要介護3以下は医師の所見等による例外給付が必要なこと
  • 本体はレンタル、レシーバー・チューブなど肌に触れる交換部品は購入という、ひとつの用具の中で制度が分かれる仕組みがあること
  • 導入の相談は、排泄の状況を具体的に伝えることから始まり、本人の受け入れ状況を確認しながら進めるのが後悔の少ない進め方であること

排泄の負担で悩んでいる場合は、まずは担当のケアマネジャーに今の状況を伝えてみてください。自動排泄処理装置の取り扱いや、交換部品の対応状況を具体的に確認したい場合は、介護ようひんさーちの事業所検索から、営業エリアや特定福祉用具販売の指定の種類で事業所を絞り込み、直接問い合わせてみてください。

よくある質問

Q. 自動排泄処理装置は、要介護3でも絶対に使えませんか? A. いいえ、絶対に使えないわけではありません。尿と便の両方を吸引するタイプでも、医師の医学的所見とサービス担当者会議での判断があれば、例外給付として使える場合があります。まずはケアマネジャーに相談してください。

Q. 尿のみを吸引するタイプと尿便両用タイプは、あとから変更できますか? A. 本人の状態変化に応じて、福祉用具専門相談員に相談のうえ、貸与する製品を変更することは可能です。ただし要介護度によって尿便両用タイプの利用可否が変わるため、変更時にはあらためて対象になるかを確認する必要があります。

Q. 交換部品はどこで購入すればよいですか? A. 貸与を受けている事業所、または特定福祉用具販売の指定を受けた事業所で購入します。装置本体に適合した部品である必要があるため、本体をレンタルしている事業所に確認するのが確実です。

Q. 本人が装置を使うことに抵抗を示しています。どう進めればよいですか? A. 無理に導入を急がず、まずは本人の気持ちを聞くことが大切です。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談し、本人の前で説明してもらう、試用期間を設けるなど、時間をかけて納得を得ながら進める方法もあります。