自分で買った車いすや、親族から譲り受けた介護ベッドを使っている場合でも、クッションやマットレスなどの「付属品」だけを介護保険でレンタル(福祉用具貸与)することはできます。厚生労働省の解釈通知が、付属品の対象に「既に利用者が車いす(特殊寝台)を使用している場合に貸与される付属品」を含めているためです。ただし、要支援1〜要介護1の方は付属品も原則対象外で、本体に合うかどうかの確認も欠かせません。
「車いすは前に買ったものがあるけれど、座っていると痛そう。クッションだけ借りられないか」「介護ベッドは知り合いから譲ってもらった。柵とマットレスはどうしたらいいのか」——本体は手元にあり、足りないものだけを用意したい家族から聞かれる相談です。本体も一緒に借り直さないといけないのでは、と思い込んで相談をためらう方もいます。
先に、要点をまとめます。
- 介護保険でレンタルできる付属品は、本体を借りるときに一緒に借りるものに加え、すでに使っている車いす・介護ベッドに合わせて借りるものも含まれる
- 付属品は、車いすならクッション・電動補助装置・テーブル・ブレーキ、介護ベッドならサイドレール・マットレス・ベッド用手すり・テーブル・スライディングボード・介助用ベルトなどが例として示されている
- 要支援1〜要介護1の方は、車いす付属品・特殊寝台付属品も原則として対象外。必要なときは例外給付の手続きを相談する
- 手元の本体に取り付けられるか、介護保険の「車いす」「特殊寝台」にあたる本体かを、福祉用具専門相談員に実物で確認してもらう
ここから、厚生労働省の解釈通知「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年老企第34号、令和6年3月15日最終改正。公益財団法人テクノエイド協会の掲載資料)をもとに、順番に整理します。
付属品だけのレンタルは、制度上認められている?
認められています。解釈通知は「一体的に使用されるもの」に、すでに使っている本体に合わせて借りる付属品を含めています。
介護保険でレンタルできる13種目のうち、「車いす付属品」と「特殊寝台付属品」は、告示で「車いす(特殊寝台)と一体的に使用されるものに限る」とされています。この「一体的」が、本体と同時に借りることだけを指すのかどうかで迷う方が多い部分です。
解釈通知は、車いす付属品について次のように説明しています。
同項にいう「一体的に使用されるもの」とは、車いすの貸与の際に併せて貸与される付属品又は既に利用者が車いすを使用している場合に貸与される付属品をいう。
特殊寝台付属品にも、同じ書き方の説明があります。つまり、本体と同時に借りる場合と、すでに本体を使っている場合の2つが、どちらも付属品の対象です。本体を介護保険で借りていることは条件に書かれていません。
本体を購入した・譲り受けたなど、手元にある本体の事情はさまざまです。実際に給付の対象になるかは、ケアマネジャーのケアプランへの位置づけや、福祉用具専門相談員の選定を経て決まります。13種目の全体像は福祉用具貸与の対象13種目と利用の仕組みで確認できます。
付属品として借りられるのは、どんなもの?
車いすはクッション・電動補助装置・テーブル・ブレーキ、介護ベッドはサイドレール・マットレス・ベッド用手すり・テーブル・スライディングボード・介助用ベルトなどが例として挙げられています。
解釈通知では、付属品は「利用することにより、当該車いす(特殊寝台)の利用効果の増進に資するもの」とされ、例として次のものが示されています。
| 本体 | 付属品の例 | 解釈通知の主な条件 |
|---|---|---|
| 車いす | クッション又はパッド | シートや背もたれに置いて使える形のもの |
| 車いす | 電動補助装置 | 自走用標準型・介助用標準型の車いすに装着し、駆動力の全部または一部を補助するもの |
| 車いす | テーブル | 車いすに装着して使えるもの |
| 車いす | ブレーキ | 速度を制御する、または車いすを固定する機能をもつもの |
| 特殊寝台 | サイドレール | 落下防止に役立ち、取り付けが簡易で安全に配慮されたもの |
| 特殊寝台 | マットレス | 背上げ・脚上げを妨げないよう、折れ曲がる柔軟性があるもの |
| 特殊寝台 | ベッド用手すり | ベッドの側面に取り付けられ、起き上がりや移乗を助けるもの |
| 特殊寝台 | テーブル | ベッドの上で使える門型・差し込み型・サイドレールに乗せる型のもの |
| 特殊寝台 | スライディングボード・スライディングマット | 滑らせて移乗・位置交換を助けるもの |
| 特殊寝台 | 介助用ベルト | 起き上がり・立ち上がり・移乗の介助に使うもの(入浴用介助ベルトは購入の対象で、ここには含まれない) |
ここで混同しやすいのが、エアマットレスなどの床ずれ防止用具と、寝返りを助ける体位変換器です。この2つは付属品ではなく、それぞれ独立した種目です。特殊寝台付属品のマットレスと床ずれ防止用具の違いは、介護ベッドのマットレスの選び方で詳しく整理しています。
手元の本体なら、どれでも付属品を付けられる?
付属品は「車いす」「特殊寝台」と一体で使うものなので、手元の本体が介護保険のこれらの種目にあたるか、取り付けられるかの確認が先です。
介護保険でいう特殊寝台は、サイドレールを取り付けられることに加え、背部または脚部の角度調整か、床板の高さを無段階に調整できる機能をもつベッドです。背上げも高さ調整もない家庭用のベッドは、この定義にあたりません。そうしたベッドに柵や手すりを付けたい場合は、置き型の手すりなど別の種目で考えられるかを専門相談員に相談します。ベッドまわりで使える手すりの考え方はベッド柵・サイドレールの確認ポイントにまとめています。
車いすも、介護保険の対象は自走用標準型・普通型電動・介助用標準型の車いすです。電動補助装置のように、装着できる本体の型が解釈通知で決められている付属品もあります。
実際の確認は、福祉用具専門相談員が自宅で本体を見て行うのが確実です。訪問の前に、次のことを手元で控えておくと話が早く進みます。
- 本体のメーカー名と型番(車いすはフレーム、ベッドはヘッドボードの裏などにラベルがあることが多い)
- 手に入れた時期と、購入か譲り受けたものか
- 車いすの座面の幅と奥行き、介護ベッドの幅と長さ
- 背上げ・高さ調整が電動か手動か、今も正常に動くか
- 困っていること(座ると痛む、ずり落ちる、柵がなく夜が心配、など)
要支援・要介護1でも、付属品だけなら借りられる?
原則として借りられません。車いす付属品・特殊寝台付属品も、車いすや特殊寝台本体と同じく軽度者は原則対象外です。
要支援1・2と要介護1の方は、車いす・車いす付属品・特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトが、原則として保険給付の対象外です。本体を自分で用意していても、付属品だけなら対象になる、という扱いにはなりません。
ただし、状態像によって必要と判断されれば、例外的に給付を受けられる手続きがあります。判断の経路と必要な書類は要支援・要介護1で使える福祉用具と原則対象外の品目で整理しています。例外給付の相談は、まずケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)に、どの動作で困っているかを具体的に伝えるところから始まります。
費用と手続きは、本体を借りる場合と変わる?
手続きの流れは本体を借りる場合と同じで、付属品のレンタル料に対して所得に応じた1〜3割を負担します。本体の点検や修理を誰が担うかは、契約前に確かめておきます。
付属品だけを借りる場合も、ケアマネジャーがケアプランに位置づけ、福祉用具専門相談員が選定と計画づくりを行い、事業所と契約して納品という順番は変わりません。費用は付属品のレンタル料が対象で、ほかの介護サービスと合わせて区分支給限度額の枠を使います。枠との兼ね合いは区分支給限度額と福祉用具レンタルの関係で確認できます。
本体を介護保険で借りていない場合に気をつけたいのが、本体の手入れです。レンタル品は事業所が点検や交換を担いますが、自分で用意した本体は事業所の貸与品ではありません。付属品を取り付けたあとに本体のブレーキやタイヤ、ベッドの動きに不具合が出たとき、誰に相談し、費用をどうするかを契約前に聞いておくと、あとで困りにくくなります。
本体が古くなっている、体に合わなくなってきた、という場合は、付属品だけを足すのではなく、本体ごと介護保険のレンタルに切り替えるほうが合うこともあります。どちらにするかは、専門相談員に本体の状態を見てもらってから決めて構いません。
この記事で持ち帰れること
- 手元にある車いす・介護ベッドに合わせて、付属品だけを介護保険でレンタルすることは、解釈通知で認められている
- 付属品は本体の種目と一体で使うもの。手元の本体が介護保険の「車いす」「特殊寝台」にあたり、取り付けられるかを専門相談員に実物で確認してもらう
- 要支援1〜要介護1の方は付属品も原則対象外。必要なときは例外給付の手続きをケアマネジャーに相談する
まずは、手元の本体の型番と困っていることを書き出して、ケアマネジャーに「付属品だけ借りられるか」と聞いてみてください。付属品の取扱いがある事業所は、介護ようひんさーちの事業所検索で住所を入れると、自宅が営業エリアに入る福祉用具貸与の指定事業所に絞り込んで探せます。
よくある質問
Q. 介護保険で借りていない車いすに、クッションだけ借りられますか? A. 解釈通知では、すでに車いすを使っている場合に借りる付属品も対象とされています。要支援1〜要介護1の方は原則対象外のため、例外給付の手続きが必要かをケアマネジャーに確認してください。
Q. 家庭用のベッドに、柵やマットレスだけ介護保険で借りられますか? A. 特殊寝台付属品は、背上げや高さ調整の機能をもつ特殊寝台と一体で使うものです。そうした機能のない家庭用ベッドに付けたい場合は、置き型の手すりなど別の種目で考えられるかを専門相談員に相談してください。
Q. エアマットレスは、介護ベッドを借りていなくても借りられますか? A. エアマットレスなどの床ずれ防止用具は、特殊寝台付属品ではなく独立した種目です。ただし要支援1〜要介護1の方は原則対象外です。どの種目で借りるのが合うかは、専門相談員に相談してください。

