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住まいの場所別に考える福祉用具——玄関・廊下・寝室・浴室・トイレの住環境ガイドを表すイラスト住環境

住まいの場所別に考える福祉用具——玄関・廊下・寝室・浴室・トイレの住環境ガイド

Published
作成日: 2026年8月4日
Updated
最終更新日: 2026年8月4日

住まいの場所別に福祉用具を考えるための入口ガイド。玄関・廊下/動線・寝室・浴室・トイレという場所軸と、住宅改修との使い分け・搬入前の確認・マンションや積雪地域など住宅事情別の横断軸で整理し、場所ごとの詳しいガイドへ案内します。

01住環境×福祉用具は「場所軸」と「横断軸」の2つで整理する

福祉用具は品目から選ぶこともできますが、住まいでの困りごとは「玄関の段差でつまずきそうになった」「浴槽をまたぐのが怖い」のように、場所と結びついて現れることがほとんどです。そこでこの記事では、住まいの場所を軸に福祉用具を整理します。

住環境と福祉用具の全体像。玄関・廊下/動線・寝室・浴室・トイレの場所軸と、住宅改修との使い分け・搬入前の確認・住宅事情別という横断軸を整理した図

場所軸は、生活動線に沿った5つです。

  1. 玄関まわり(段差・出入り)
  2. 廊下・室内の動線(移動・転倒への備え)
  3. 寝室(介護ベッドと配置)
  4. 浴室(入浴の一連の動作)
  5. トイレ(限られたスペースでの配置)

これに加えて、どの場所にも関わる横断軸が3つあります。工事をともなう住宅改修との使い分け、大型の用具を入れる前の搬入経路の確認、そしてマンション・狭い住まい・積雪地域・災害への備えといった住宅事情別の確認です。

各節では、場所ごとの考え方の要点と、詳しいガイドへのリンクを載せています。いま困っている場所の節から読み始めて、最後に横断軸の節で住まい全体のバランスを確認する、という読み方がおすすめです。

02玄関まわり——段差と出入りの動作を支える

玄関は、住まいの中でも段差が集中する場所です。上がりかまち、式台、ポーチの階段と、短い距離に高さの違う段差が続くため、転倒への備えを最初に考えたい場所のひとつです。

福祉用具でのアプローチは、大きく3つの組み合わせで考えます。手すり(工事不要の置き型・突っ張り型)で支えをつくる、スロープで段差をなだらかにする、踏み台で一段の高さを分割する、という3つです。どれか1つで解決しようとせず、動作を「靴を履く」「立ち上がる」「段を上がる」に分けて、それぞれに何が要るかを考えるのがコツです。詳しくは玄関の段差に使う福祉用具の考え方にまとめています。

置き型の手すりをどこに置くと動作を支えられるかは、玄関に限らず共通の考え方があります。手すりを置く場所の考え方を参考にしてください。

また、玄関には「用具を使う場所」であると同時に、介護ベッドや車いすなど大型の用具が家に入ってくる入口という役割もあります。幅・段差・曲がり角によっては搬入経路の工夫が必要になるため、大型の用具を検討し始めたら搬入前に玄関で確認することを早めに読んでおくと、納品時のつまずきを防げます。

03廊下・室内の動線——移動しやすく、つまずきにくくする

廊下や部屋の間の移動は、毎日何度も繰り返される動作です。それだけに、小さな困りごとを放置すると負担が積み重なりやすい場所でもあります。

まず確認したいのは、動線上のつまずきの要因です。敷居のわずかな段差、めくれかけたマット、床に置かれた延長コード。福祉用具の導入とあわせて、こうした要因を減らすことが基本になります。滑りやすい場所への対処と、福祉用具・住宅改修それぞれの役割分担は滑り止め用具の確認ポイントで解説しています。動作ごとに用具を組み合わせる考え方は転倒予防のための福祉用具の考え方も参考になります。

移動を支える用具としては、廊下に置き型の手すりを足す、屋内用の歩行器を使うといった選択肢があります。どの用具が合うかは歩く力によって変わるため、品目側の整理は品目別の選び方のガイドから確認してください。

車いすで暮らす場合は、動線の考え方が一段変わります。通れる幅、曲がれる角、回転できるスペースという3つの確認が必要になり、家具の配置換えだけで解決することも少なくありません。必要な寸法の目安と確認手順は車いすで暮らす住まいの動線確認にまとめています。

04寝室——介護ベッドを中心にした配置を考える

寝室は、福祉用具の中でも最も大きい部類に入る特殊寝台(介護ベッド)を置く可能性がある場所です。ベッド本体の選び方より先に、「どこに置くか」で悩む方が多い場所でもあります。

配置で考えるポイントは3つです。(1)ベッド本体+介助スペース:ベッドの寸法だけでなく、介助する人が立つ側の余白が要ります。(2)起き上がってからの動線:ベッドから立ち上がって、トイレ・居間へどう向かうか。夜間のトイレ動線は特に重要です。(3)ベッドの向き:麻痺がある方は、動かしやすい側から起きられる向きにするのが基本です。具体的な確認手順は介護ベッドを置く部屋の考え方にまとめています。

ベッドまわりには、マットレス・ベッド柵などの付属品や、夜間の排泄を支えるポータブルトイレを組み合わせることが多く、寝室は複数の用具が集まる場所になりがちです。用具そのものの選び方は品目別の選び方のガイドの寝室・排泄の節から確認してください。

なお、寝室の位置そのものを見直す(2階の寝室を1階に移すなど)ほうが、用具を足すより暮らしやすくなる場合もあります。部屋の使い方の変更も含めて、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談してみてください。

05浴室・トイレ——狭い空間で複数の用具を組み合わせる

浴室とトイレは、住まいの中で最も狭い空間でありながら、立つ・座る・またぐという負担の大きい動作が集中する場所です。そのぶん福祉用具の出番も多く、複数の用具をどう組み合わせ、どう配置するかが問われます。

浴室では、入浴の一連の動作(脱衣→洗い場での立ち座り→浴槽をまたぐ→浴槽内での立ち座り)を分解して、どの動作に支えが要るかを確認します。シャワーチェア・入浴台・浴槽用手すりなどの組み合わせ方と洗い場の広さとの兼ね合いは、浴室で福祉用具を使うときの確認ポイントにまとめています。

トイレでは、便座の高さと立ち座りの支えが中心的なテーマになります。限られたスペースに補高便座や手すりをどう配置するかは、トイレで福祉用具を使うときの確認ポイントで解説しています。

どちらの場所も、直接肌に触れる用具が多いため購入(特定福祉用具販売)の対象品目が中心です。購入は買い直しがしにくいので、洗い場の幅・浴槽の高さ・トイレの奥行きなど、設置場所の寸法を測ってから相談することが失敗を減らす一番の近道です。用具そのものの選び方は品目別の選び方のガイドの入浴・排泄の節を参照してください。

06住宅改修との使い分け——用具で対応するか、工事で対応するか

住まいの困りごとには、福祉用具(置く・借りる)で対応する方法と、住宅改修(工事する)で対応する方法があります。たとえば手すりには、工事不要の置き型(福祉用具貸与)と、壁に固定する取り付け型(住宅改修)の両方があり、段差にもスロープの設置(貸与・選択制)と段差解消の工事(住宅改修)があります。

使い分けの大まかな考え方は次のとおりです。

  • 状態が変わる可能性が高い時期は、あとから変更しやすい福祉用具が向いています。
  • 長く使う前提で、しっかりした強度が必要な場所(体重を強くかける場所など)は、住宅改修が向いています。
  • 賃貸住宅では、原状回復の制約から、まず工事不要の福祉用具を検討するのが現実的です。

また、両者は制度上の枠組みも別で、福祉用具貸与が月々の区分支給限度額の中でやりくりするのに対し、住宅改修には別枠の支給限度基準額と事前申請の手続きがあります。制度の違いと併用の考え方は住宅改修と福祉用具の使い分けで詳しく解説しています。

実際には「玄関は改修、室内は福祉用具」のように組み合わせるケースが多くあります。どちらか一方に決め打ちせず、住まい全体を見てもらったうえで、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員と一緒に配分を考えてください。

07住宅事情別の確認ポイント——マンション・狭い住まい・積雪地域・災害への備え

同じ品目でも、住まいの事情によって確認すべきことが変わります。当てはまるものがあれば、場所別のガイドとあわせて読んでください。

マンション・集合住宅では、専有部分だけでなく共用部分の扱いが関わってきます。共用廊下やエントランスに私物を置けるか、エレベーターの寸法は搬入に足りるかなど、管理規約の確認が必要な場面があります。詳しくはマンションで福祉用具を使うときの確認ポイントへ。

狭い住まいでは、用具を置くことで生活動線がかえって窮屈になる逆転が起きがちです。コンパクトなタイプの選び方と配置の工夫は狭い住まいで福祉用具を選ぶポイントにまとめています。

積雪地域では、冬季の屋外動線や玄関まわりの使い方が季節で変わります。雪のある暮らしならではの確認事項は積雪地域で使う福祉用具の確認ポイントを参照してください。

災害への備えも、福祉用具を使う暮らしでは住環境の一部です。停電時に電動の用具をどうするか、避難の動線と用具の関係など、平時に確認しておきたいことを災害時を考えた福祉用具の備えで整理しています。

こうした住宅事情は、事業所に相談するときの重要な前提情報でもあります。問い合わせの際に「マンションの3階でエレベーターあり」のように住まいの条件を先に伝えると、提案の精度が上がります。

08場所の整理ができたら——訪問してもらえる事業所を探す

場所別に困りごとを整理できたら、次は相談先を探します。住環境に関わる福祉用具選びでは、カタログ上の商品知識だけでなく、実際に住まいを見てもらうことが特に大きな意味を持ちます。図面や口頭の説明では伝わらない、段差の高さ・廊下の幅・浴室の広さといった現場の情報が、用具の選定を左右するからです。

相談の準備としておすすめなのは、次の2つです。(1)困りごとメモ:「いつ・どこで・どの動作に困ったか」を2〜3件書き出す。(2)寸法メモ:気になっている場所(浴槽の高さ、トイレの幅、玄関の段差など)を測っておく。この2つがあるだけで、初回の相談から具体的な話ができます。

事業所探しでは、営業エリアに自宅が入っているかが住環境相談では特に重要です。福祉用具は納品・調整・点検で自宅への訪問が繰り返し発生するため、無理なく通える範囲の事業所を選ぶことが、その後のフォローの受けやすさにつながります。

介護ようひんさーちでは、住所を起点に営業エリア内の事業所を検索できます。取扱い品目や貸与・販売の指定の有無も組み合わせて絞り込めるので、場所別の整理で見当をつけた用具を扱う事業所を探してみてください。利用開始までの全体の流れは利用までの流れのガイドで確認できます。

FAQ

このガイドのよくある質問

実際に困りごとが起きた場所、またはヒヤリとした場所から考えるのが基本です。転倒につながりやすい玄関・浴室・夜間のトイレ動線は、困りごとが起きやすい代表的な場所です。「いつ・どこで・どの動作に困ったか」をメモしてからケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると、場所と動作に合わせた用具の組み合わせを提案してもらえます。
工事をともなわない置き型・突っ張り型の手すりは福祉用具貸与、壁にねじ等で固定する取り付け工事は住宅改修と、制度上の枠組みが分かれています。状態が変わる可能性がある時期や賃貸住宅では工事不要の福祉用具から、長く使う前提で強度が必要な場所は住宅改修、というのが大まかな使い分けです。併用もできるため、住まい全体を見て専門職と配分を相談してください。
多くの場合は使えますが、戸建てにはない確認事項があります。エレベーターや共用廊下の寸法が搬入経路として足りるか、共用部分に用具を置いてよいか(管理規約の確認)、床の防音規定と用具の相性などです。大型の用具を検討する場合は、事業所に住まいの条件を先に伝え、必要に応じて下見をしてもらうと納品時のトラブルを防げます。
用具を置いたあとに生活動線が確保できるかを、導入前に確認することが大切です。コンパクトなタイプや折りたためるタイプを選ぶ、家具の配置換えとあわせて考える、本当に必要な用具から順に入れる、といった工夫で両立できる場合が多くあります。福祉用具専門相談員に住まいを見てもらい、寸法をふまえた配置の提案を受けるのがおすすめです。
大型の用具では搬入経路の確認が重要です。玄関の幅と段差、廊下の曲がり角、エレベーターの寸法(集合住宅の場合)を確認しておくと、納品当日のつまずきを防げます。あわせて、設置予定の場所の寸法(浴槽の高さ、トイレの幅、ベッドを置く部屋の広さなど)を測っておくと、事業所との相談がスムーズに進みます。実測が難しければ、下見が可能かを事業所に相談してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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